← Library‹ 蟹工船 附記

この後あとのことについて、二、三にさん附つけ加くわえて置おこう。

イ、二に度ど目めの、完全かんぜんな「サボ」は、マンマと成功せいこうしたということ。「まさか」と思おもっていた、面めん喰くらった監督かんとくは、夢中むちゅうになって無電むでん室しつにかけ込こんだが、ドアーの前まえで立たち往生おうじょうしてしまったこと、どうしていいか分わからなくなって。

ロ、漁期ぎょきが終おわって、函館はこだてへ帰港きこうしたとき、「サボ」をやったりストライキをやった船ふねは、博光ひろみつ丸まるだけではなかったこと。二、三にさんの船ふねから「赤化せっか宣伝せんでん」のパンフレットが出でたこと。

ハ、それから監督かんとくや雑ざつ夫ふ長ちょう等とうが、漁期ぎょき中ちゅうにストライキの如ごとき不祥ふしょう事じを惹起ひきおこさせ、製品せいひん高こうに多大ただいの影響えいきょうを与あたえたという理由りゆうのもとに、会社かいしゃがあの忠実ちゅうじつな犬いぬを「無む慈悲じひ」に涙なみだ銭せん一文かずふみくれず、(漁夫ぎょふ達たちよりも惨みじめに!)首くびを切きってしまったということ。面白おもしろいことは、「あ――あ、口惜くやしかった! 俺おれア今いままで、畜生ちくしょう、だまされていた!」と、あの監督かんとくが叫さけんだということ。

ニ、そして、「組織そしき」「闘争とうそう」――この初はじめて知しった偉大いだいな経験けいけんを担になって、漁夫ぎょふ、年ねん若わかい雑ぞう夫ふ等とうが、警察けいさつの門もんから色々いろいろな労働ろうどうの層そうへ、それぞれ入はいり込こんで行いったということ。

――この一いち篇へんは、「殖民しょくみん地ちに於おける資本しほん主義しゅぎ侵入しんにゅう史し」の一いち頁ぺーじである。

(一いち九きゅう二に九きゅう・三さん・三さん〇れい)

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