← Library‹ 猿かに合戦 三

相談そうだんがやっとまとまると、臼うすと昆布こんぶと蜂はちと栗くりは、子こがにを連つれて猿さるのうちへ出でかけて行いきました。猿さるはたんと柿かきを食たべて、おなかがくちくなって、おなかこなしに山やまへでも遊あそびに行いったとみえて、うちにはいませんでした。

「ちょうどいい。この間あいだにみんなでうちの中なかにかくれて待まっていよう。」

と臼うすが言いいますと、みんなはさんせいして、いちばんに栗くりが、

「わたしはここにかくれよう。」

と言いって、炉ろの灰はいの中なかにもぐり込こみました。

「わたしはここだよ。」

と言いいながら、蜂はちは水みずがめの陰かげにかくれました。

「わたしはここさ。」

と、昆布こんぶは敷居しきいの上うえに長々ながながと寝ねそべりました。

「じゃあ、わたしはここに乗のっていよう。」

と臼うすは言いって、かもいの上うえにはい上あがりました。

夕方ゆうがたになって、猿さるはくたびれて、外そとから帰かえって来きました。そして炉ろばたにどっかり座すわり込こんで、

「ああ、のどが渇かわいた。」

と言いいながら、いきなりやかんに手てをかけますと、灰はいの中なかにかくれていた栗くりがぽんとはね出だして、とび上あがって、猿さるの鼻面はなづらを力ちからまかせにけつけました。

「あつい。」

と猿さるはさけんであわてて鼻面はなづらをおさえて、台所だいどころへかけ出だしました。そしてやけどをひやそうと思おもって、水みずがめの上うえに顔かおを出だしますと、陰かげから蜂はちがぶんととび出だして、猿さるの目めの上うえをいやというほど刺さしました。

「いたい。」

と猿さるはさけんで、またあわてておもてへ逃にげ出だしました。逃にげ出だすひょうしに、敷居しきいの上うえに寝ねていた昆布こんぶでつるりとすべって、腹はらんばいに倒たおれました。その上うえに臼うすが、どさりところげ落おちて、うんとこしょと重おもしになってしまいました。

猿さるは赤あかい顔かおをありったけ赤あかくして苦くるしがって、うんうんうなりながら、手足てあしをばたばたやっていました。

そのとき、お庭にわの隅すみから子こがにがちょろちょろはい出だしてきて、

「親おやのかたき、覚おぼえたか。」

と言いいながら、はさみをふり上あげて、猿さるの首くびをちょきんとはさみではさんでしまいました。

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