← Library‹ 舌切りすずめ 二

おじいさんは、すずめが舌したを切きられてどこへ行いったか心配しんぱいでたまりませんので、あくる日ひは、夜よがあけるとさっそく出でかけていきました。おじいさんは道々みちみち、つえをついて、

「舌切したきりすずめ、

お宿やどはどこだ、

チュウ、チュウ、チュウ。」

と呼よびながら、あてもなくたずねて歩あるきました。野のを越こえて、山やまを越こえて、また野のを越こえて、山やまを越こえて、大おおきなやぶのある所ところへ出でました。するとやぶの中なかから、

「舌切したきりすずめ、

お宿やどはここよ。

チュウ、チュウ、チュウ。」

という声こえが聞きこえました。おじいさんは喜よろこんで、声こえのする方ほうへ歩あるいていきますと、やがてやぶの陰かげにかわいらしい赤あかいおうちが見みえて、舌したを切きられたすずめが門もんをあけて、お迎むかえに出でていました。

「まあ、おじいさん、よくいらっしゃいました。」

「おお、おお、ぶじでいたかい。あんまりお前まえがこいしいので、たずねて来きましたよ。」

「まあ、それはそれは、ありがとうございました。さあ、どうぞこちらへ。」

こう言いってすずめはおじいさんの手てをとって、うちの中なかへ案内あんないしました。

すずめはおじいさんの前まえに手てをついて、

「おじいさん、だまってだいじなのりをなめて、申もうしわけがございませんでした。それをおおこりもなさらずに、ようこそたずねて下くださいました。」

と言いいますと、おじいさんも、

「何なんの、わたしがいなかったばかりに、とんだかわいそうなことをしました。でもこうしてまた会あわれたので、ほんとうにうれしいよ。」

と言いいました。

すずめはきょうだいやお友ともだちのすずめを残のこらず集あつめて、おじいさんのすきなものをたくさんごちそうをして、おもしろい歌うたに合あわせて、みんなですずめ踊おどりを踊おどって見みせました。おじいさんはたいそうよろこんで、うちへ帰かえるのも忘わすれていました。そのうちにだんだん暗くらくなってきたものですから、おじいさんは、

「今日きょうはお陰かげで一いち日にちおもしろかった。日ひの暮くれないうちに、どれ、おいとまとしましょう。」

と言いって、立たちかけました。すずめは、

「まあ、こんなむさくるしいところですけれど、今夜こんやはここへとまっていらっしゃいましな。」

と言いって、みんなで引ひきとめました。

「せっかくだが、おばあさんも待まっているだろうから、今日きょうは帰かえることにしましょう。またたびたび来きますよ。」

「それは残念ざんねんでございますこと、ではおみやげをさし上あげますから、しばらくお待まち下くださいまし。」

と言いって、すずめは奥おくからつづらを二ふたつ持もってきました。そして、

「おじいさん、重おもいつづらに、軽かるいつづらです。どちらでもよろしい方ほうをお持もち下ください。」

と言いいました。

「どうもごちそうになった上うえ、おみやげまでもらってはすまないが、せっかくだからもらって帰かえりましょう。だがわたしは年としをとっているし、道みちも遠とおいから、軽かるい方ほうをもらっていくことにしますよ。」

こう言いっておじいさんは、軽かるいつづらを背負せおわせてもらって、

「じゃあ、さようなら。また来きますよ。」

「お待まち申もうしております。どうか気きをつけてお帰かえり下くださいまし。」

と言いって、すずめは門口かどぐちまでおじいさんを送おくって出でました。

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