← Library‹ 金の輪 二

輪わをまわして行いく少年しょうねんのすがたは、やがて白しろい道みちの方ほうに消きえてしまいました。けれど、太郎たろうはいつまでも立たって、そのゆくえを見みまもっていました。

太郎たろうは、「だれだろう。」と、その少年しょうねんのことを考かんがえました。いつこの村むらへこしてきたのだろう? それとも遠とおい町まちの方ほうから、遊あそびにきたのだろうかと思おもいました。

あくる日ひの午後ごご、太郎たろうはまた畑はたけの中なかに出でてみました。すると、ちょうどきのうとおなじ時刻じこくに輪わの鳴なる音おとがきこえてきました。太郎たろうはかなたの往来おうらいを見みますと、少年しょうねんが二ふたつの輪わをまわして、走はしってきました。その輪わは金色きんいろにかがやいて見みえました。少年しょうねんはその往来おうらいをすぎるときに、こちらをむいて、きのうよりもいっそうなつかしげに、ほおえんだのであります。そして、なにかいいたげなようすをして、ちょっとくびをかしげましたが、ついそのまま行いってしまいました。

太郎たろうは畑はたけの中なかに立たって、しょんぼりとして、少年しょうねんのゆくえを見みおくりました。いつしかそのすがたは、白しろい道みちのかなたに消きえてしまったのです。けれど、いつまでもその少年しょうねんの白しろい顔かおと、微笑びしょうとが太郎たろうの目めにのこっていて、とれませんでした。

「いったい、だれだろう。」と、太郎たろうはふしぎに思おもえてなりませんでした。今いままで一いちども見みたことがない少年しょうねんだけれど、なんとなくいちばんしたしい友ともだちのような気きがしてならなかったのです。

あしたばかりは、ものをいってお友ともだちになろうと、いろいろ空想くうそうをえがきました。やがて、西にしの空そらが赤あかくなって、日暮ひぐれがたになりましたから、太郎たろうは家いえの中なかにはいりました。

その晩ばん、太郎たろうは母親ははおやにむかって、二ふた日かもおなじ時刻じこくに、金かねの輪わをまわして走はしっている少年しょうねんのことを語かたりました。母親ははおやは信しんじませんでした。

太郎たろうは、少年しょうねんと友ともだちになって、自分じぶんは少年しょうねんから金かねの輪わを一ひとつわけてもらって、往来おうらいの上うえをふたりでどこまでも走はしって行いく夢ゆめを見みました。そして、いつしかふたりは、赤あかい夕ゆうやけ空そらの中なかにはいってしまった夢ゆめをみました。

あくる日ひから、太郎たろうはまた熱ねつが出でました。そして、二三にさん日にちめに七ななつでなくなりました。

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