← Library‹ 電人M 青い自動車

ちょうどそのころ、博士はかせ邸ていの外そとにも、奇怪きっかいなできごとが、起おこっていました。

一いち台だいの青あおい自動じどう車しゃが遠藤えんどう博士はかせ邸ていのコンクリート塀へいの外そとにとまりました。ヘッド・ライトを消けしてそのまま、なにかを待まつように、じっと、とまっているのです。

しばらくすると、門もんの方ほうから、大おおきなかげが、その自動じどう車しゃに近ちかづいてきました。あの怪かいロボット、電人Mです。プラスチックの顔かおの中なかで、二ふたつの赤あかい電光でんこうの目めが、パチパチとまたたいています。

電人Mの鉄てつの腕うでには、なにか大おおきなものがかかえられています。手足てあしをしばられ、さるぐつわをはめられた、ひとりの少年しょうねんです。よくみるとそれは遠藤えんどう治郎じろう君くんでした。気きを失うしなったように、グッタリしています。麻酔薬ますいやくをかがされたのかもしれません。

自動じどう車しゃの運転うんてん手しゅが後部こうぶ席せきのドアを開ひらきますと、電人Mは、まず少年しょうねんを中なかにいれて自分じぶんも乗のりこみました。大型おおがた自動じどう車しゃですが、電人Mはからだが大おおきいので、まっすぐには、はいれません。横よこになってやっともぐりこんだのです。そして、パタンとドアがしまると、自動じどう車しゃはすぐに、走はしりだしました。

その自動じどう車しゃが、向むこうの町まちかどを曲まがったかと思おもうと、遠藤えんどう邸ていの塀へいにそって、もう一いち台だいの黒くろい自動じどう車しゃが走はしってきました。そして、電人Mの自動じどう車しゃのあとをつけはじめたのです。

あとの自動じどう車しゃには三さん人にんの少年しょうねんが乗のっていました。ハンドルをにぎっているのは小林こばやし少年しょうねん、うしろの席せきに、ならんで腰掛こしかけているのは、治郎じろう君くんの親友しんゆうの森田もりた少年しょうねんと、それからポケット小僧こぞうです。

三さん人にんの少年しょうねんは、夕方ゆうがたから、遠藤えんどう邸ていのまわりを見みはっていました。そして、電人Mが治郎じろう少年しょうねんをつれだして、自動じどう車しゃに乗のりこむのを見みると、すぐに自分じぶんたちも、近ちかくにとめておいたアケチ一いち号ごうに、とびのって、追跡ついせきをはじめたのです。

「よくおぼえたぞ、あいつの車くるまは3な……2458だ。」

森田もりた君くんが言いいました。

「六ろく〇れい年ねんの青あおのシボレーだよ。」

ハンドルをにぎっている小林こばやし少年しょうねんが、それに答こたえるように、さけびました。

電人Mのシボレーは広ひろい大通おおどおりに出でて、どこまでも走はしっていきます。もう豊島としま区くから練馬ねりま区くにはいっています。練馬ねりまといえば、あの月つき世界せかい旅行りょこうの見世物みせもののある区くです。電人Mは治郎じろう君くんを、そこへ連つれていくのではないでしょうか。

いや、そうではありません。電人Mの車くるまは、とある屋敷やしき町まちの門もんのある家いえの前まえにとまりました。門もんにならんで、ガレージの鉄てつのとびらがしまっています。

車くるまからとびおりた運転うんてん手しゅは、そのとびらを、いっぱいに開ひらきました。そして、運転うんてん席せきにもどると車くるまをガレージの中なかにいれ、そのまま、また、とびらをしめてしまったではありませんか。

車くるまからは、だれもおりなかったのです。電人Mも、治郎じろう少年しょうねんも、運転うんてん手しゅも、車くるまに乗のったまま、ガレージの中なかにとじこもってしまったのです。

小林こばやし君くんたち三さん人にんの少年しょうねんは、車くるまをおりて、電柱でんちゅうのかげにかくれて、それを見みとどけました。

「へんだなあ、車くるまに乗のったまま、ガレージの中なかにはいってしまったよ。もしかしたら、ガレージのうしろに、出入口でいりぐちがあるのかもしれない。ポケット君くん、ガレージのうしろを調しらべてごらん。」

小林こばやし君くんが言いいますと、ポケット小僧こぞうは、「うん。」と答こたえて、サッと走はしりだします。あたりは暗くらいし、からだが小ちいさいので、たちまち、姿すがたが見みえなくなりました。

ポケット小僧こぞうは鉄てつ格子こうしの門もんのとびらを、サルのように、よじのぼって、庭にわの中なかにしのびこみ、ガレージの建物たてもののうしろにまわって、出入口でいりぐちがないかと、調しらべました。

ガレージは、庭にわの中なかにポツンと建たった四角しかくな小屋こやで、両りょう横よこも、うしろもコンクリートのかべになっていて、どこにも出入でいり口くちはありません。ですから、電人Mと、治郎じろう君くんと、運転うんてん手しゅは、いまもその中なかにいるわけです。

ポケット小僧こぞうは、それをたしかめると、また門もんのとびらを乗のり越こえて、小林こばやし君くんのところにもどり、そのことを報告ほうこくしました。

「よし、それじゃ、すぐにパトロール・カーを呼よぼう。」

小林こばやし君くんはそう言いって、自動じどう車しゃの中なかに置おいてあった無線むせん電話でんわ機きをとりだし、送話そうわ器きを口くちの前まえにもってきました。

「明智あけち探偵たんてい事務じむ所しょ。マユミさんですか。至急しきゅう一いち一いち〇れい番ばんへ、電人Mを追跡ついせきして練馬ねりまへきました。Mはいまガレージにとじこもっています。すぐにきて、つかまえてくれるように言いってください。」

そう言いって、ガレージのある場所ばしょをくわしく教おしえました。マユミさんが一いち一いち〇れい番ばんにそれを電話でんわすれば、この近ちかくを巡回じゅんかいしているパトロール・カーが、二に―三さん分ふんもすればやってくるでしょう。

その間かん、小林こばやし君くんたちは、電柱でんちゅうのかげにかくれて、じっとガレージのとびらを見みつめていました。とびらは、ぴったりしまったまま、一いち度ども開ひらきません。電人Mは、このせまいガレージの中なかで、いったい、なにをしているのでしょう。

やがて、一いち台だいのパトロール・カーがやってきました。そのあとから、また一いち台だい、つづいて、また一いち台だい。つごう三さん台だいの白しろい自動じどう車しゃが、集あつまってきました。三さん台だいともサイレンは鳴ならしていません。電人Mがガレージにかくれたとわかっているので、相手あいてにさとられないために、現場げんばに近ちかづくと、サイレンをとめてしまったのです。

三さん台だいの車くるまから、六ろく人にんの警官けいかんがおりてきました。小林こばやし君くんはそのそばにかけよって、いままでのことを話はなしました。警官けいかんたちは懐中かいちゅう電灯でんとうを照てらして、ガレージのとびらに近ちかづいていきます。

ああ、電人Mは、とうとう、袋ふくろのネズミになってしまいました。いくら力ちからの強つよいロボットでも、こちらは、腕利うでききの警官けいかんが六ろく人にんです。まさか、警官けいかんたちを押おしのけて、逃にげだすことはできないでしょう。

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