← Library‹ 電人M 大発明の秘密

そのあくる日ひの夜明よあけごろ、月がつ世界せかいの見世物みせものの大だい月球げっきゅうのまわりには、大おおぜいの人ひとが集あつまっていました。

名めい探偵たんてい明智あけち小五郎こごろう、遠藤えんどう博士はかせ、少年しょうねん探偵たんてい団だん長ちょう小林こばやし少年しょうねん、ポケット小僧こぞうをはじめ、少年しょうねん探偵たんてい団だん員いん二十にじゅう三さん名めい、警視けいし庁ちょう捜査そうさ一いち課かの係かかり長ちょう中村なかむら警部けいぶ、制服せいふく警官けいかん三十さんじゅう名めい、背広せびろの刑事けいじ十じゅう名めい、総勢そうぜい七十ななじゅう人にんに近ちかい人数にんずうです。それらの人ひとたちをはこんできた、パトカーや、ふつうの自動じどう車しゃが、広ひろっぱの端はしに、ずらっとならび、その中なかに、犯罪はんざい者しゃをはこぶための大型おおがたの警察けいさつ自動じどう車しゃが五ご台だいもまじっています。勇いさましいとりものの、せいぞろいです。

「もう、爆発ばくはつしてから六ろく時間じかん以上いじょうたっています。大丈夫だいじょうぶですよ。わたしの発明はつめいした力ちからは、爆発ばくはつしてから五ご時間じかんたてば、まったく害がいがなくなるように、できているのです。そうするために、わたしはひじょうに苦心くしんしました。作用さようを早はやくなくするということですね。敵てきを倒たおしても、こちらも近づけちかずけないのでは、どうすることもできませんからね。」

遠藤えんどう博士はかせが、説明せつめいしました。いま、遠藤えんどう博士はかせと明智あけち探偵たんていと、中村なかむら警部けいぶの三さん人にんは、肩かたをならべて、大だい月球げっきゅうの裏うらがわの、プラネタリウムの入口いりぐちに近ちかづいて行いくのです。

入口いりぐちの大おおとびらには、むろん、かぎがかかっていましたが、明智あけち探偵たんていが万能ばんのう鍵かぎをとりだして、なんなくそれを開ひらきました。

「あっ、ここに倒たおれている。」

中村なかむら警部けいぶが、大おおきな懐中かいちゅう電灯でんとうで、その男おとこを照てらしました。出入でいり口くちの番人ばんにんです。

警部けいぶは入口いりぐちの外そとにでて、手てを振ふって、合図あいずをしました。すると、大おおぜいの警官けいかんたちが、かけよってきて、気きを失うしなっている番人ばんにんを、警察けいさつ自動じどう車しゃへ運はこんで行いきました。

それから、明智あけち探偵たんてい、中村なかむら警部けいぶ、遠藤えんどう博士はかせの三さん人にんを先さきに立たてて、全部ぜんぶの人ひとびとが、プラネタリウムの中なかへ、はいって行いきました。

スイッチを捜さがすのに、てまどりましたが、やっとそれを捜さがしあてて、天井てんじょうの電灯でんとうをつけました。プラネタリウムの中なかは、パッと、昼間ひるまのように明あかるくなったのです。

二十にじゅう面相めんそうや部下ぶかたちは、魚さかな市場しじょうのマグロのように、ゴロゴロと、ころがっていました。

「あっ、こいつが二十にじゅう面相めんそうだ。まるで将軍しょうぐんみたいな服ふくを着きている。」

明智あけち探偵たんていが、つぶやきました。

「みんな自動じどう車しゃへ運はこんでください。手荒てあらくしても、大丈夫だいじょうぶですよ。こいつらは、百ひゃく二十にじゅう時間じかんはけっして目めをさましませんからね。いくら二十にじゅう面相めんそうでも、もう、逃にげだす力ちからはありません。」

それから、二十にじゅう面相めんそうと百ひゃく人にんに近ちかい部下ぶかたちが、外そとに運はこびだされ、警察けいさつ自動じどう車しゃに、グングンつめこまれました。

しかし、いちばんだいじなのは、遠藤えんどう治郎じろう君くんを助たすけだすことです。

そのために、明智あけち探偵たんていと、遠藤えんどう博士はかせと、中村なかむら警部けいぶと、小林こばやし団長だんちょうと、ポケット小僧こぞうの五ご人にんが、秘密ひみつ戸とを開ひらいて、階段かいだんをおり、二十にじゅう面相めんそうのすみかへと、おりて行いきました。

「爆発ばくはつの力ちからは、こっちのほうにも、作用さようしているのでしょうね。」

「そうです。治郎じろうもやられているに、ちがいありません。あの銀色ぎんいろの玉たまには、上下じょうげ左右さゆう、直径ちょっけい百ひゃく五十ごじゅうメートルのなかにあるものは、みんなやられるような力ちからが、仕掛しかけてあったのですから、二十にじゅう面相めんそうのすみかにも、むろん、作用さようしています。たとえ、部下ぶかのやつが、こっちのほうに、残のこっていたとしても、そいつらも、やられているのです。」

ポケット小僧こぞうが、案内あんない役やくです。狭せまいコンクリートの廊下ろうかを、ポケット小僧こぞうと大型おおがたの懐中かいちゅう電灯でんとうを持もった中村なかむら警部けいぶが、さきにたって、歩あるいて行いきました。

「あっ、ここが美術びじゅつ室しつです。」

ポケット小僧こぞうがさけびました。そして、両方りょうほうの腰こしに、手てを当あてて、グッとそりかえって、いかにも、もったいぶった姿勢しせいになると、おもおもしい声こえで、

「ひらけ、ゴマ。」

と、唱となえました。すると、スーッと、音おともなく開ひらくドア。カチンとスイッチをいれますと、宝石ほうせきや金かねや銀ぎんでチカチカひかった、目めもくらむようなガラス棚たながならんでいました。

むろん、これらの宝物たからものは、ぜんぶ警察けいさつに運はこんで、それぞれの持もち主ぬしに、返かえすことになるのです。

治郎じろう少年しょうねんのとじこめられている部屋へやは、ポケット小僧こぞうも知しらないので、捜さがすのに、骨ほねがおれましたが、ある場所ばしょで、「ひらけ、ゴマ。」を唱となえますと、秘密ひみつのドアが開ひらき、その小こ部屋へやのベッドの上うえに、治郎じろう君くんが気きを失うしなっていました。すぐに、助たすけだして、自動じどう車しゃに乗のせたことは、いうまでもありません。

みんなは、つぎに、電気でんき室しつへはいって行いきました。タコのような火星かせい人にんに、つぎつぎと、命いのちを吹ふきこんだ、あの部屋へやです。明智あけち探偵たんていは、その部屋へやを念入ねんいりに調しらべたあとで、種明たねあかしをしました。

「むろん、いくら電気でんきの力ちからだって、命いのちを吹ふきこむなんて、できるはずはありません。二十にじゅう面相めんそうの好すきな手品てじなですよ。火星かせい人にんの型かたをつくって、箱はこにいれて、電気でんきをかけたのですね。ごらんなさい。ここにその箱はこがある。みんな二に重じゅう底ていですよ。タコ入道にゅうどうの衣装いしょうをつけた部下ぶかのやつが、底そこにかくれていて、命いのちを吹ふきこまれたようにみせかけて、箱はこから出でてきたのですよ。

こちらの鉄てつの小こ部屋へやへ、人間にんげんがはいると、からだがくずれて、骸骨がいこつになってしまった、というのですが、これは、鏡かがみの奇術きじゅつです。あらかじめ、骸骨がいこつを立たててある。それから、肉にくのくずれた人形にんぎょうが立たててある。ここにはいった人間にんげんにあたっている電灯でんとうを、だんだん暗くらくして、人形にんぎょうの方ほうを明あかるくすると、肉にくがくずれたように見みえる。つぎには、骸骨がいこつを照てらす電灯でんとうを明あかるくして、ほかの電灯でんとうを暗くらくすると、それが鏡かがみにうつって、骸骨がいこつに変かわったように見みえるのです。」

明智あけち探偵たんていはそう言いって、自分じぶんが鉄てつの小こ部屋へやにはいると、電灯でんとうをつけたり、消けしたりして、だんだん骸骨がいこつに変かわっていくところをみせるのでした。

そのとき、どこかへ、いっていたポケット小僧こぞうが、とびこんできました。

「先生せんせい、わかりました。治郎じろう君くんは、向むこうの部屋へやで、何百なんびゃくという火星かせい人にんにとりかこまれたといっていましたが、火星かせい人にんに化ばけた二十にじゅう面相めんそうの部下ぶかが、そんなにいるはずはないと、ふしぎに思おもっていたのです。そのわけが、わかりました。あそこは、かべに鏡かがみをはりつめた部屋へやだったのです。鏡きょうから鏡かがみに反射はんしゃして、十じゅう人にんぐらいの火星かせい人にんが、何百なんびゃく人にんにも見みえたのです。」

ここにも二十にじゅう面相めんそうの奇術きじゅつがあったのです。ああ、二十にじゅう面相めんそうは、なんという奇術きじゅつ好すきなやつでしょう。

Click a word · hold for the whole sentence 0%