← Library‹ 妖星人R たいまつの火

明智あけち探偵たんていと少年しょうねんたちは、二十にじゅう面相めんそうをおって、廊下ろうかを走はしりました。

廊下ろうかは一いち本道ほんどうです。二十にじゅう面相めんそうは、つきあたりの部屋へやににげこみました。そのうしろ姿すがたが見みえたのです。

しかし、その部屋へやにはいってみると、だれもいません。三みつある窓まどは、しまったままで、中なかからかけがねがかかっています。二十にじゅう面相めんそうは消きえてしまったのでしょうか。

明智あけち探偵たんていが、壁かべにある、かくしボタンをさがして、それをおしました。

すると、ガタンと音おとがして、床ゆかに一いちメートル四方しほうほどの穴あながあいたではありませんか。地下ちか室しつへの入口いりぐちです。

それを見みると、明智あけちが少年しょうねんたちに、さしずしました。

「地下ちか室しつへは小林こばやし君くんと、井上いのうえ君くんだけにして、あとの諸君しょくんは、庭にわに出でて、まっていてくれたまえ。二十にじゅう面相めんそうのさいごの切きり札ふだは、庭にわにかくしてあるんだ。ぼくも、それにたいして用意よういがしてある。ぼくは小林こばやし君くんの電話でんわをきくと、まもなく、車くるまの中なかに大おおきな道具どうぐをつんで、ここにやってきた。それが、どんな道具どうぐだかは、いまにわかる。

また、警視けいし庁ちょうの中村なかむら警部けいぶとも、連絡れんらくがしてあり、やがて、パトカーも、ここへやってくるはずだ。すこしも、こわいことはないのだよ。」

明智あけちの命令めいれいにしたがって、十じゅう三さん人にんの少年しょうねん探偵たんてい団だん員いんは、広ひろい庭にわへ出でていきました。もう夜よるの九きゅう時じごろです。このまっくらな庭にわにいったい、どんな切きり札ふだがかくしてあるというのでしょう。

明智あけち探偵たんていと小林こばやし、井上いのうえの二に少年しょうねんは、床ゆかの穴あなから、地下ちか室しつへおりていきました。いくつも、部屋へやのある広ひろい地下ちか室しつです。

明智あけちは強つよい光ひかりの懐中かいちゅう電灯でんとうを用意よういしていました。それをふりてらしながらすすんでいきますと、みょうな部屋へやに、はいりました。

その部屋へやには、洋服ようふく屋やのショーウインドーにあるような、男おとこや女おんなの人形にんぎょうが、ウジャウジャと立たっているのです。はだかではなくて、みんな洋服ようふくをきています。

二十にじゅう面相めんそうは、きっと、その中なかにかくれているのでしょう。

明智あけち探偵たんていは懐中かいちゅう電灯でんとうで、ひとつひとつ、人形にんぎょうをてらしていきました。

すましたマネキンの顔かおが、つぎつぎと、光ひかりの中なかにあらわれます。

おやっ、四角しかくなめがねをかけたメフィストの人形にんぎょうです。そいつが、懐中かいちゅう電灯でんとうの光ひかりを、まぶしそうにして、パチパチと、またたきをしました。

「あっ、きさま、二十にじゅう面相めんそうだなっ。」

明智あけちと二に少年しょうねんが、とびかかろうとすると、二十にじゅう面相めんそうはすばやく身みをひいて、にげだしました。

「ワハハハハハ、おれは人形にんぎょうだよ。メフィストの人形にんぎょうだよ。ワハハハハハ。」

にげながら、二十にじゅう面相めんそうの高笑たかわらいです。

明智あけちは懐中かいちゅう電灯でんとうをふりてらして、おっかけます。

二に部屋へやほど、とおりすぎて、いきどまりの小こ部屋へやにたっしました。シュッとマッチをする音おと、パッともえたつたいまつ。二十にじゅう面相めんそうは小型こがたのたいまつを、ふりかざして、仁王立におうだちになっています。

「ワハハハハハ、おい、これを見みろ。このたるの中なかには、火薬かやくがいっぱいつまっているんだぞ。このとおり、ふたはひらいてある。このたいまつを、たるの中なかに、なげこめば、大だい爆発ばくはつだ。この家いえも、おれも、きみたちも、こなごなになって、ふっとんでしまうぞ。さあ、どうだ。命いのちがおしければ、地下ちかから出でていけ。でないと、明智あけち君くん、きみはこの二十にじゅう面相めんそうといっしょに死しぬことになるぞ。ワハハハハハハ。」

かれは、たいまつをふりながら、気きでもちがったように、笑わらうのでした。

ああ、あぶない。たいまつからは、火ひの粉こがとびちっています。それがたるの火薬かやくの中なかにおちたら、なにもかも、こっぱみじんなのです。

小林こばやし少年しょうねんも井上いのうえ君くんも、まっさおになって、にげだしそうになりました。しかし、明智あけち探偵たんていはビクともしないで、おちつきはらっています。

「ハハハハハ。」

こんどは、明智あけちの笑わらう番ばんでした。

「そのたるの中なかをよく見みたまえ。火薬かやくは水みずびたしになっているじゃないか。たいまつをほうりこんだって、シュッと音おとがするばかりだよ。」

「なにっ、水みずびたしだと?」

二十にじゅう面相めんそうは、あわててたるの中なかをのぞきました。

「やっ、さては、きさまが、水みずをかけたんだな。」

「そうだよ。きみが少年しょうねんたちに催眠さいみん術じゅつをかけているあいだに、ぼくは、このうちを、ねこそぎしらべた。そして、あぶない火薬かやくには水みずをかけておいたのさ。」

「ちくしょう!」

二十にじゅう面相めんそうは、たいまつをなげすてて、いきなり、こちらへ、つきすすんできました。明智あけちと二に少年しょうねんのあいだをすりぬけて、おそろしいいきおいで、にげていきます。

パタンと、かくし戸とのひらく音おと。そのむこうに、人間にんげんひとり、やっととおれるほどの、トンネルのような穴あなが見みえます。

二十にじゅう面相めんそうは、四よつんばいになって、穴あなの中なかへはいこんでいきました。

明智あけち探偵たんていと二に少年しょうねんも、やっぱり四よつんばいになって、そのあとを追おいます。

トンネルは二十にじゅうメートルほども、つづいていましたが、やがて、ポッカリと、広ひろい場所ばしょに出でました。庭にわのようです。

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