← Library‹ 赤いカブトムシ 12

しょうねんたんていだんのおうえんにやって来きたヘリコプターは、強つよい風かぜをまき起おこしながら、原はらっぱのまん中なかへちゃくりくしました。

「あっ、明智あけち先生せんせいだっ。」

小林こばやしだんちょうがさけんで、その方ほうへかけ出だしました。

ヘリコプターの、すきとおったそうじゅう室しつのとびらが開ひらいて、明智あけちたんていがおりてきました。

めいたんていは、ひこうきでもヘリコプターでも、そうじゅうできるのです。

明智あけちたんていは、小林こばやしくんのでんわをきくと、いそいで新聞しんぶん社しゃとうちあわせ、新聞しんぶん社しゃのヘリコプターを、自分じぶんでそうじゅうして、とんできたのです。

みんなは明智あけちたんていのまわりをとりかこんで、ちか室しつでおそろしいめにあったことを、口々くちぐちに話はなすのでした。

「よし、それじゃあ、このヘリコプターで、せいどうのまじんを追おいかけるんだ。」

明智あけちたんていは、みんなにさしずをしました。

「小林こばやしくんと井上いのうえくんとふたりだけ、ぼくといっしょに乗のりたまえ。それいじょうは乗のれない。のこった人ひとは、みんなうちへ帰かえって、待まっていたまえ。きっと、せいどうのまじんをとらえてみせるよ。そして、赤あかいカブトムシをとりかえしてあげるよ。」

明智あけちたんていと、小林こばやしくん・井上いのうえくんのふたりがヘリコプターに乗のりこみました。

ヘリコプターはまた、おそろしい風かぜを起おこして、とび上あがっていきます。原はらっぱにのこったノロちゃんと木村きむらくんと、ユウ子こちゃんは、手てをふって、それを見送みおくりました。

小林こばやしくんと井上いのうえくんは、はじめてヘリコプターに乗のったのです。うちゅうりょこうにでも出でかけるような気持きもちでした。

ヘリコプターは、高たかい空そらを、せいどうのまじんがとびさった東ひがしの方ほうへ進すすんでいきます。

ふりむくと西にしの空そらは、まっかな夕ゆうやけでした。やがて、日ひがくれるのです。そのときのよういに、そうじゅう室しつには、小こがたのサーチライトがそなえつけてあります。

せいどうのまじんは、風ふうにはこばれていったのですから、風かぜのふく方ほうへ追おいかければよいのです。こちらには風かぜのほかに、プロペラの力ちからがあります。きっと、追おいつくことができるでしょう。

やがて、夕ゆうやけもきえ、見みる見みるあたりが暗くらくなってきました。空そらにはいちめんに、星ほしがまたたき始はじめました。ちじょうには、いなかの町まちのでんとうが、これも星ほしのように、ちらほら見みえています。上うえにも星ほし、下したにも星ほし、ほんとうにうちゅうりょこうです。

「あっ、先生せんせい。あそこに、なんだかとんでいますよ。」

小林こばやしくんのさけび声ごえに、ぱっとサーチライトがてんじられました。その光ひかりのとどかないほどむこうの空そらに、なんだか黒くろっぽいものがふわふわとただよっています。ヘリコプターは、その方ほうへしんろをむけました。

「あっ、やっぱりそうだ。にんげんの形かたちをしている。せいどうのまじんですよ。」

やがてそれが、サーチライトの光ひかりの中なかへはいってきました。たしかに、せいどうのまじんのふうせんです。

「小林こばやしくん、これで、あいつのからだをうつんだ。いまに、あいつのすぐよこを通とおるからね。そのとき、ドアをすこしあけて、右手みぎてを出だして、うつんだ。」

明智あけちたんていはそういって、小林こばやしくんにピストルをわたしました。小林こばやしくんはたんていじょしゅですから、ピストルのうちかたは知しっています。

明智あけちたんていは、ヘリコプターをうまくそうじゅうして、せいどうのまじんのすぐよこに近ちかづき、そくどをおとしてならんでとぶようにしました。小林こばやしくんはいわれたとおり、ドアのすきまから手てを出だして、まじんのからだにピストルをはっしゃしました。

すぐ目めの前まえをふわふわとんでいたまじんが、ぐらっとゆれました。ピストルのたまがめいちゅうしたのです。つづいて、二にはつ、三さんぱつ……。

そのたびに、まじんのふうせんは、ぐらっぐらっとゆれるのです。そして、たまのあなから、シューッと、ガスがぬけていくのです。

「よしっ。それでいい。こんどはヘリコプターで、あいつをおさえつけるんだ。」

明智あけちたんていは、ヘリコプターをまじんの前まえにもっていって、そのままぐっとこうどをさげました。

すると、それにおされて、まじんはよこたおしになり、ヘリコプターのそこにぴったりくっついてしまいました。

「よしっ。このままで、どこかの原はらっぱへちゃくりくしよう。もう、にがしっこないよ。」

サーチライトを下したへむけると、手てごろなばしょを見みつけて、たんていはぐんぐんヘリコプターをさげました。そして、まっ暗くらな畑はたけの中なかへちゃくりくしたのです。

三さん人にんは、ヘリコプターからとび出だしました。そして、かいちゅうでんとうをてらして、きたいの下したをのぞきました。ビニールのまじんのふうせんは、ガスがぬけ、ぺっちゃんこになって、そこにひっかかっていました。

ひきずり出だして口くちの中なかをしらべますと、したの上うえに、赤あかいルビーのカブトムシが、ちゃんとくっついていたではありませんか。とうとうとりもどすことができたのです。

あくる日ひ、明智あけちたんていじむしょの小林こばやしくんのところへ、でんわがかかってきました。まほうはかせからでした。

「きみたちの勝かちだよ。ルビーは、きみたちのものだ。いろいろ苦くるしめてすまなかったね。だが、あれは、きみたちのちえとゆうきをためすためだったのだよ……。しょうねんたんていだん、おめでとう。明智あけち先生せんせいによろしく。」

小林こばやしくんはじゅわきをおくと、よこにたって聞きいていた明智あけち先生せんせいとかおを見みあわせて、にっこりわらうのでした。

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