← Library‹ 怪人と少年探偵 地底の声

明智あけち探偵たんていと、小林こばやし少年しょうねんと、中村なかむら警部けいぶと、おおぜいのおまわりさんの力ちからで、怪人かいじんの家いえにとじこめられていた、野村のむらみち子こちゃんは助たすけ出だされました。これで、もう怪人かいじんはみち子こちゃんのおとうさんを、おどかして、宝石ほうせきを手てに入いれることはできなくなったわけです。怪人かいじんの家いえの一室いっしつには、ぬすみためた宝石ほうせきや、金銀きんぎんの美術びじゅつ品ひんが、たくさん置おいてありました。これも、すっかりとりもどしましたから、すぐに、もとの持もち主ぬしにかえせるわけです。ところが、怪人かいじんがどこへかくれたのか、まだ見みつかりません。手下てしたが、ふたりつかまりましたが、怪人かいじんのかくれ場所ばしょは、このふたりも知しらないというのです。それから、井上いのうえ君くんとポケット小僧こぞうを、助たすけ出ださなければなりません。この少年しょうねんたちが、どこにかくされているかも、まだすこしもわからないのです。そこで、またしても、家やさがしがはじまりました。いく組くみにもわかれて、あちこちのへやをさがすのです。明智あけち探偵たんていと、小林こばやし少年しょうねんと、三さん人にんのおまわりさんが、懐中かいちゅう電燈でんとうをつけて、一いち階かいのへやからへやをまわっていました。

「あっ、なんだか、かすかな声こえがしましたね」小林こばやし少年しょうねんが、すばやく、それを聞ききつけて、明智あけち探偵たんていの顔かおを見みました。たしかに、聞きこえます。かすかに、かすかに、

「助たすけてくれえ……、ぼくら、ここにいるんだよう……」

小林こばやし君くんは、なにを思おもったのか、いきなり床ゆかに身みをふせて、床板ゆかいたに耳みみをつけました。

その声こえは床ゆかの下したからくるように感かんじられたからです。

「ぼく井上いのうえだよう……」

「ぼくポケット小僧こぞうだよう……」

「水みずの中なかにいるんだよう。死しんじまうよう……」

ほそい声こえが、はっきりと聞きこえました。

「先生せんせい、井上いのうえ君くんと、ポケット小僧こぞうです。水みずぜめにあっているらしいのです」

しかし、そこへ行いく道みちがわかりません。

「この床板ゆかいたを破やぶりましょうか」警官けいかんのひとりが、どなりました。

「いや、待まってください。破やぶるのには時間じかんがかかる。もっといい方法ほうほうがあるかもしれません」

そのへやのまん中なかに、大おおきな机つくえと、りっぱないすが置おいてありました。そのほかには、なんの道具どうぐもないのです。小林こばやし君くんは、いきなり、懐中かいちゅう電燈でんとうを持もって、その大机おおづくえの下したへ、もぐりこみました。いままでの、たびたびのけいけんで、床ゆかのおとし穴あなを開ひらくボタンが、机つくえの板いたの下したがわに、ついているかもしれないと思おもったからです。

「あっ、あったぞっ……」

机つくえの色いろと同おなじで、ちょっと見みたのではわからないような、小ちいさなポッチが見みつかったのです。小林こばやし君くんはグッとそれを押おしました。

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