かべのあなから、水が、おそろしいいきおいでながれこんできます。
はこのようなコンクリートのちかしつですから、水はたまるばかりです。
三十センチ、五十センチ、一メートル。もう、水が、こばやしくんのむねまできました。
かべには、なんの手がかりもないので、よじのぼることもできません。
いっぽう、ポケット小ぞうは、まちのけいさつしょにかけつけていました。
二十めんそうをおいかけてきたおまわりさんたちは、一やすみしていました。
ポケット小ぞうのはなしをきくと、
「それっ」
といって、みんなじどうしゃにのり、はやしの中のようかんへいそぎました。
ちかしつでは、水が、もう、こばやしくんのくびまできました。それから、あごまで、口まで、はなまで……。
いきができないので、およぐほかありません。
「ははははは。きみは、およぎがうまいね。まあ、ゆっくりおよいでいるがいい」
てんじょうで、ひげもじゃのかおがのぞいています。
おまわりさんをのせた二だいのじどうしゃは、ぜんそくりょくではしっていきました。
ポケット小ぞうは、うんてんだいにのって、みちあんないをしています。
はやしがみえてきました。
「あっ、あそこです。こばやしさんがしんぱいです。
いそいでください」
「うふふふふ。さっきから、ずいぶんおよいだね。いったい、きみは、どのくらいおよげるんだね。つかれないかね」
てんじょうのあなから、ひげもじゃの二十めんそうがからかっているのです。
こばやしくんは、すっかりつかれてしまいました。
もう十ぷんもすれば、ちからがなくなっておぼれしぬかもしれません。
「どうだ、こんどこそおもいしらせてやるのだ。ふふふ。くるしいか、かわいそうに、なきべそをかいてるな」
そのとき、へんなことがおこりました。
いままで、わらっていた二十めんそうが、
「わあっ」
と、ひめいをあげたのです。上では、バタン、バタンと、とっくみあいがはじまったようです。
二十めんそうは、いいきになっていたので、おまわりさんたちのきたのにきがつかなかったのです。そして、とうとうつかまってしまいました。
「こばやしさん、二十めんそうはつかまったよ。いまたすけるからね」
ポケット小ぞうは、げんきいっぱいさけびました。