← Library‹ かいじん二十めんそう 2

石村いしむらたかしくんと、いもうとで二に年ねん生せいのミチ子こちゃんは、すぎ山やま先生せんせいだと思おもっていた人ひとに、古ふるいおみやの森もりの中なかにつれこまれました。

ところがそのひとは、おそろしいおうごんかめんだったのです。

おうごんかめんこそ、人々ひとびとからこわがられていたかいじん二十にじゅうめんそうなのです。

「わっははは。どうだ、おれがなにものかわかっただろうな。いや、なにも、こわがることはない。きみたちにらんぼうなことはしない。ただ、きみたちのおとうさんのもっている、りっぱなえがほしいのだ。あしたの夜よる、ちょうだいに上あがると、おとうさんによくいっておくのだよ。わかったね」

そういったかと思おもうと、二十にじゅうめんそうは、ぱっと森もりの中なかからかけ出だしていきました。

そして、すこしたつと、とおくから、じどうしゃの走はしり出だす音おとがきこえました。きっと、おみやの外そとにじどうしゃをまたせておいたのでしょう。

たかしくんとミチ子こちゃんは、いそいで家いえにかえり、おとうさんにこのことを話はなしました。

石村いしむらくんのおとうさんは、えがすきで、りっぱなえをたくさんあつめていました。

二十にじゅうめんそうは、それをぬすみに来くるというのです。

石村いしむらさんは、すぐ、名めいたんていのあけち先生せんせいにでんわをかけました。けれども、あけちたんていはるすで、少年しょうねん名めいたんていの小林こばやしくんがやって来くることになりました。

小林こばやしくんは、少年しょうねんたんていだんのだんちょうです。

だんいん六ろく人にんと、それからけいしちょうの中村なかむらけいぶに話はなしをして、けいじ六ろく人にんをつれ、あくる日ひのひるごろ、石村いしむらさんの家いえにやって来きました。

六ろく人にんのけいじと、六ろく人にんの少年しょうねんたちは、手分てわけをして、へやの入口いりぐちや、まわりのにわで見みはりばんをしました。

ひる間まはなにごともなく、夜よるになりました。

小林こばやしくんは、へやの入口いりぐちのろうかのいすにかけて、がんばっています。

へやの外そとのくらいにわには、けいじたちがまどとへいの間あいだを行おこなったり来きたりしていました。

みんな、手てにまるいぼうのようなものをもって、いそぎ足あしで歩あるいています。

つぎの日ひの朝あさになると、石村いしむらさんが、小林こばやしくんのところへやって来きました。

「あっ、石村いしむらさん、なにごともありませんでした。へやをしらべてください。二十にじゅうめんそうは、ぼくたちをおそれて、とうとうぬすみ出だせなかったのです」

小林こばやしくんがそういったので、石村いしむらさんはへやの中なかをしらべましたが、えは一ひとつもなくなっていません。

そこで小林こばやしくんたちはかえっていきました。

みんなのかえってしまったあとで、石村いしむらさんのところへおかしなでんわがかかってきました。

「きみは石村いしむらさんかね。ははは、とうとうだまされたね」

「えっ、なんだって。きみはいったいだれだ」

石村いしむらさんは、びっくりしてききかえしました。

「はっははは、わかりませんか。こんなでんわをかけるのは、あいつにきまっているじゃありませんか」

「えっ、あいつだって。それじゃ、きみは二十にじゅうめんそうだな」

「そうだよ、おきのどくさま。きみのたいせつにしているえは、みんなちょうだいしたよ」

「えっ、ちょうだいしたって。わたしのへやのえは、一ひとつもなくなっていないよ。ははは」

「ははは、きみの目めもあてにならないね。あれは、みんなにせものだよ。

小林こばやしもにせもの。少年しょうねんだんいんやけいじもにせもの。みんな、おれの子分こぶんだったのだ。

夜中よなかに、本ほんもののえをはずして、にせものとはめかえて、本ほんもののほうをもち出だしてしまったのさ」

「えっ、あれがみんなにせものだって」

石村いしむらさんは、びっくりして、へやへとんでいって、ひとつびとつよくしらべました。

「あっ、やっぱりそうだ。本ほんものとそっくりにかいてあるが、みんなにせものだ」

石村いしむらさんは、まっさおになっていいました。

それにしても、小林こばやしくんまでにせものとは、いったいどんなやり方かたをしたのでしょうね。

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