← Library‹ ふしぎな人 17 二十めんそうのさいご

「おれは、人ひとごろしはきらいなんだ。だから、きみをころしはしない。足あしをうつんだ。そして、にげ出だすんだ」

そういったかと思おもうと、いきなり、ピストルの引ひき金がねを引ひきました。――カチッと、音おとがしました。しかし、たまはとび出だしません。また、引ひき金がねを引ひきました。けれど、またカチッと音おとがするばかりです。

「あははは……。そのピストルには、たまがはいっていないんだよ。ポケットくんが、おどかしに使つかっただけだよ」

明智あけちたんていが、さもおかしそうにわらいました。

「しまった」

とさけんで、二十にじゅうめんそうは、ピストルをなげつけました。さっき、からのピストルに手てをあげたのかと思おもうと、くやしくてたまらないのです。

かれは、いきなり、明智あけちたんていにとびかかっていきました。

またしても、大だいかくとうが始はじまりました。二十にじゅうめんそうも強つよいが、明智あけちたんていも、じゅうどうの名人めいじんです。おそろしい組くみうちがつづきました。

ちょうど、そこへ、五ご人にんのけいじがかけつけてきました。そして、二十にじゅうめんそうは、とうとう手てじょうをはめられてしまったのです。

二十にじゅうめんそうがつかまったと聞きいて、木村きむらさんは、たけしくんときみ子こちゃんをつれて、そこへやって来きました。

小林こばやしくんは、しばられているポケット小こぞうのなわをとき、さるぐつわをはずしてやりました。口くちがきけるようになると、ポケット小こぞうはすぐに、二十にじゅうめんそうをどなりつけました。

「ざまあ見みろ、とうとうつかまっちゃったじゃないか。明智あけち先生せんせいは、えらいだろう。おまえなんか、かないっこないよ」

ポケット小こぞうは、もと、ちんぴらですから、ことばづかいが悪わるいのです。

そのとき、たけしくんが、明智あけちたんていを見上みあげてたずねました。

「先生せんせい、ぼく、わからないことがあるんです。おとといのばんは、まどのカーテンに、大おおきな顔かおがうつったでしょう。ゆうべは、かいだんのかべに、おそろしい手てがうつったでしょう。そして、どこをさがしても、だれもいなかったのです。どういうわけですか」

すると、明智あけちたんていは、にこにこして答こたえました。

「あれは、げんとうだよ。きかいを、にわのしげみの中なかにかくして、あんなかげをうつしたのさ。そのげんとうきは、ずっと遠とおくからうつせるから、だれもいないように見みえたのだよ。ね、そうだろう、二十にじゅうめんそうくん」

二十にじゅうめんそうは、苦にがい顔かおをして、うなずきました。

「それから、もう一ひとつわからないことがあるんです。二十にじゅうめんそうは、どうして空そらをとぶんですか」

「それは、二十にじゅうめんそうがフランスの発明はつめい家やから買かった、せなかへとりつけることのできる、すごく小ちいさなヘリコプターなんだよ。二十にじゅうめんそうは、木きの上うえなんかにそのきかいをかくしておいて、さいごには、いつも、それでにげ出だしていたのだ」

明智あけちたんていは、なにもかも知しっていたのでした。こうして、さすがのかいじん二十にじゅうめんそうもつかまってしまったのです。木村きむらさんは、ほうせきをぬすまれないですんだのでした。

「明智あけち先生せんせい、ありがとう。小林こばやしくん、ポケット小こぞうくん、みんなありがとう」

木村きむらさんは、にこにこして、みんなにお礼れいをいうのでした。

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