← Library‹ ロバの子

ある日ひのことです。小ちいさい女おんなの子こが遠とおくのほうに不思議ふしぎな形かたちをしたものをみつけました。

その形かたちが近ちかづいてきたとき、女おんなの子こは大おおきなお腹なかをした妊婦にんぷさんだと気きが付つきました。

その女おんなの子こは恥はずかしがりやでしたが、勇気ゆうきのある子こだったので、妊婦にんぷさんに近ちかづきました。女おんなの子こやみんなは、その妊婦にんぷさんとそのこどもを自分じぶんたちの所ところにおいて、しっかりと守まもることに決きめました。

赤あかちゃんは今いまにも生うまれそうです。みんなが彼女かのじょを助たすけました。「押おすんだ!」「毛布もうふをもってきて!」「水みずをちょうだい!」「押おしてーーー!!!」

しかし、赤あかちゃんが出でてきたとき、彼かれらは驚おどろきで飛とび跳はねました。「ロバ?!」

みんなは話はなし合あいを始はじめました。「私わたしたちは彼女かのじょのことも赤あかちゃんも守まもろうと決きめて手助てだすけをしたんだから、そうしよう。」「でも、彼かれらは私わたしたちに不吉ふきつをもたらすに違ちがいない。」

そうして、彼女かのじょはまた一人ひとりぼっちになってしまいました。彼女かのじょはこのぶかっこうな赤あかちゃんをどうやって育そだてればいいか、自分じぶんはどうするべきか、わかりませんでした。

しかし、彼女かのじょは、ロバが自分じぶんの子こどもであり、自分じぶんはロバの母親ははおやであることを受うけ入いれなければなりませんでした。

その子こどもが小ちいさいままでいてくれれば、すべては違ちがっていたでしょう。しかし、そのうちにロバはどんどん育そだって、彼女かのじょがおんぶできないくらい大おおきくなってしまったのです。そしてその子こはどんなにがんばっても人間にんげんと同おなじようにはふるまえませんでした。母親ははおやは疲つかれ、イライラして、自分じぶんの子こどもに動物どうぶつがするような仕事しごとをさせたりしました。

混乱こんらんや怒いかりの気持きもちがロバの中なかにどんどんたまっていきました。これはできないし、あれもできない。これにはなれないし、あれにもなれない。たまりにたまった怒いかりから、ついにロバはお母かあさんを地面じめんに蹴けり飛とばしてしまいました。

ロバは自分じぶんのしたことに対たいし恥はずかしい気持きもちでいっぱいになり、精せい一杯いっぱいの速はやさでその場ばからなるべく遠とおくへと走はしり去さってしまいました。

気きがつくとあたりはすっかり夜よるになり、ロバは道みちに迷まよってしまいました。「ヒヒーン……」彼かれは暗闇くらやみのなかささやきました。「ヒヒーン?」それはこだまとなって返かえってきただけでした。彼かれはひとりぼっちでまるくなり、深ふかい、悲かなしいねむりにつきました。

ロバが起おきると、そこには知しらないおじいさんがロバをじっと見みつめて立たっていました。おじいさんの瞳ひとみの中なかをじっと見みると、そこに小ちいさな希望きぼうの光ひかりが見みえてきました。

ロバはおじいさんといっしょに過すごすことにして、ついていきました。おじいさんはロバに生いき抜ぬくためのたくさんの方法ほうほうを教おしえてくれました。彼かれはその教おしえをよく聞きき、学まなびましたし、おじいさんももまたロバの話はなしを聞きいて学まなびました。彼かれらはお互たがいに助たすけ合あい、笑わらいあって時ときを過すごしたのです。

ある朝あさ、おじいさんはロバに自分じぶんを乗のせて山やまのてっぺんにつれていくようお願ねがいをしました。

彼かれらは雲くもの上うえで眠ねむりに落おち、ロバはお母かあさんが病気びょうきになり、自分じぶんのことを呼よんでいる夢ゆめをみました。そして、ロバが起おきたときには……

雲くもも、親愛しんあいなるおじいさんも消きえてなくなっていました。

ロバはついに自分じぶんがどうするべきかがわかりました。

ロバは、息子むすこを失うしなって悲かなしみにくれていたお母かあさんを見みつけることができました。彼かれらはお互たがいに長ながく見みつめあい、そして強つよく抱だきしめあいました。

ロバと彼かれのお母かあさんは一緒いっしょに成長せいちょうし、協力きょうりょくして暮くらしていく方法ほうほうをたくさん見みつけていきました。ゆっくりではあるけれど、周まわりのひとびとや他ほかの家族かぞくたちも徐々じょじょに彼かれらのところに引ひっ越こしてきました。

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