← Library‹ ゴールのないレース

大学だいがく生せいのとき、私わたしは友ともだちと一緒いっしょにバイクのクラブを作つくった。メンバーは10人にんぐらいだった。あるとき、この中なかで誰だれが一番いちばん速はやいかという話はなしになった。若者わかものがよく考かんがえることだ。メンバーの中なかに負まけず嫌きらいが二人ふたりいた。

「俺おれが一番いちばん速はやい」

「いや、俺おれの方ほうが速はやい」

二人ふたりはカーブが多おおい山道やまみちで勝負しょうぶしようと言いった。

勝負しょうぶのとき。二人ふたりは山道やまみちの入いり口ぐちに並ならんだ。そこがスタートで、山道やまみちを登のぼる。私わたしと他ほかのメンバーは、カーブが続つづく山道やまみちが終おわるところで待まっていた。レースを始はじめる前まえに二人ふたりはどうやってスタートの合図あいずを出だすか、しっかりと話はなし合あっていた。

そして、スタート。力強ちからづよいバイクの音おとがなる。二に台だいのバイクは大おおきな音おとを出だしながら、山道やまみちを走はしった。私わたしたちが待まっている場所ばしょから二人ふたりのバイクは見みえないが、いい勝負しょうぶのようだ。バイクの音おとが近ちかくなって、最後さいごのカーブから出でてくる二に台だいのバイクが見みえた。二に台だいはほとんど横よこに並ならんで、私わたしたちの前まえをすごいスピードで走はしって行いった。

「ゴール!」

と思おもったけれど、二に台だいのバイクは止とまらなかった。その先さきは行いき止どまりで道みちがない。このままでは、ガードレールにぶつかってしまう。

二人ふたりはスタートについてしっかり話はなし合あっていたが、どこをゴールにするか決きめていなかったのだ。

「キキキッー」

急きゅうブレーキの音おとがなる。ガードレールの前まえで一いち台だいのバイクは止とまった。一いち台だいは止とまれずに、ガードレールにぶつかった。しかしラッキーなことに、二人ふたりにけがはなかった。

「俺おれは最後さいごまでブレーキをかけなかった」

「いや、止とまれなかったからお前まえは負まけだ」

二人ふたりの勝負しょうぶが終おわることはなかった。

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