← Library‹ 猿かに合戦 一

むかし、むかし、あるところに、猿さるとかにがありました。

ある日ひ猿さるとかにはお天気てんきがいいので、連つれだって遊あそびに出でました。その途中とちゅう、山道やまみちで猿さるは柿かきの種たねを拾ひろいました。またしばらく行いくと、川かわのそばでかにはおむすびを拾ひろいました。かには、

「こんないいものを拾ひろった。」

と言いって猿さるに見みせますと、猿さるも、

「わたしだってこんないいものを拾ひろった。」

と言いって、柿かきの種たねを見みせました。けれど猿さるはほんとうはおむすびがほしくってならないものですから、かにに向むかって、

「どうだ、この柿かきの種たねと取とりかえっこをしないか。」

と言いいました。

「でもおむすびの方ほうが大おおきいじゃないか。」

とかには言いいました。

「でも柿かきの種たねは、まけば芽めが出でて木きになって、おいしい実みがなるよ。」

と猿さるは言いいました。そう言いわれるとかにも種たねがほしくなって、

「それもそうだなあ。」

と言いいながら、とうとう大おおきなおむすびと、小ちいさな柿かきの種たねとを取とりかえてしまいました。猿さるはうまくかにをだましておむすびをもらうと、見みせびらかしながらうまそうにむしゃむしゃ食たべて、

「さようなら、かにさん、ごちそうさま。」

と言いって、のそのそ自分じぶんのうちへ帰かえっていきました。

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