← Library‹ 一寸法師 一

むかし、摂津国せっつのくにの難波なにわという所ところに、夫婦ふうふの者ものが住すんでおりました。子供こどもが一人ひとりも無ないものですから、住吉すみよしの明神みょうじんさまに、おまいりをしては、

「どうぞ子供こどもを一人ひとりおさずけ下くださいまし。それは指ゆびほどの小ちいさな子こでもよろしゅうございますから。」

と一生懸命いっしょうけんめいにお願ねがい申もうしました。

すると間まもなく、お上かみさんは身持みもちになりました。

「わたしどものお願ねがいがかなったのだ。」

と夫婦ふうふはよろこんで、子供こどもの生うまれる日ひを、今日きょうか明日あすかと待まちかまえていました。

やがてお上かみさんは小ちいさな男おとこの赤あかちゃんを生うみました。ところがそれがまた小ちいさいといって、ほんとうに指ゆびほどの大おおきさしかありませんでした。

「指ゆびほどの大おおきさの子供こどもでも、と申もうし上あげたら、ほんとうに指ゆびだけの子供こどもを明神みょうじんさまが下くださった。」

と夫婦ふうふは笑わらいながら、この子供こどもをだいじにして育そだてました。ところがこの子こは、いつまでたってもやはり指ゆびだけより大おおきくはなりませんでした。夫婦ふうふもあきらめて、その子こに一寸法師いっすんぼうしと名前なまえをつけました。一寸法師いっすんぼうしは五いつつになっても、やはり背せいがのびません。七ななつになっても、同おなじことでした。十じゅうを越こしても、やはり一寸法師いっすんぼうしでした。一寸法師いっすんぼうしが往来おうらいを歩あるいていると、近所きんじょの子供こどもたちが集あつまってきて、

「やあ、ちびが歩あるいている。」

「ふみ殺ころされるなよ。」

「つまんでかみつぶしてやろうか。」

「ちびやい。ちびやい。」

と口々くちぐちにいって、からかいました。一寸法師いっすんぼうしはだまって、にこにこしていました。

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