← Library‹ 時差のないふたつの島 7

五ご人にんとも、おそろいのアロハ・シャツを着きている。模様もようは、やはり花はなの模様もようがいい。ややシックな感かんじで、白抜しろぬきの花はな模様もようがいいだろう。地ちの色いろは、そう、グリーンだ。

グリーンの地ちに、花はな模様もようを白しろく抜ぬいたおそろいのアロハ・シャツを、五ご人にんは着きている。そして、五ご人にんとも、下したはスラックスにしよう。白しろいスラックスだ。男性だんせいたちふたりは白しろい靴くつをはき、三さん人にんの女性じょせいたちは白しろいサンダルだ。

彼かれらのLPのジャケットのために写真しゃしんを撮影さつえいするなら、彼かれらを芝生しばふの上うえに一いち列れつにならべて立たたせると、平凡へいぼんではあるけれどうまくおさまるのではないだろうか。彼かれらのすぐうしろには、羊歯しだのような植物しょくぶつがうっそうと茂しげって、壁かべのように高たかくあるといい。三さん人にんの女性じょせいたちの両りょうわきに、男性だんせいがひとりずつ立たつ。

女性じょせいたちは、左ひだりから順じゅんに、リズム・ギター、もうひとりリズム・ギター、そして、ウクレレだ。いちばん左ひだりの女性じょせいは、その体からだに横幅よこはばと厚あつみがたっぷりとある、ポリネシアンだ。ストラップで肩かたからかけているギターが、ひとまわり小ちいさく見みえるほどの、堂々どうどうとした体格たいかくだ。表情ひょうじょうも人ひととしての雰囲気ふんいきぜんたいも、もの静しずかでしかも楽天らくてん的てきだ。度胸どきょうがすわっているような印象いんしょうを受うけるが、思おもいのほか涙なみだもろい。

まんなかにいる、もうひとりのリズム・ギターの女性じょせいは、白人はくじんとの混血こんけつであることがすぐにわかるような顔立かおだちと体からだつきであるといい。髪かみは濃こい栗色くりいろで、彼女かのじょの表情ひょうじょうも楽天らくてん的てきで人ひとが善よさそうだ。どちらかと言いえば、という程度ていどでいいから、美人びじんであることが望のぞましい。

ウクレレの女性じょせいは、すこし小柄こがらにすると、絵えとして面白おもしろい。彼女かのじょもポリネシア系けいだ。さまざまな血ちの重かさなりあいを感かんじさせてくれる顔かおだととてもいい、とぼくは思おもう。

いまも聞きこえている音楽おんがくをつくり出だしている五ご人にんの姿すがたかたちがぼくの想像そうぞうのなかに出来できあがったとき、売場うりばの主任しゅにんの彼女かのじょは、

「そのタイプライターなら、猛もう勉強べんきょうにつきあってくれるわ」

と、言いった。

彼女かのじょの言いうとおりだ。ぼくは勉強べんきょうをはじめるわけではないけれど、これからこのタイプライターを酷使こくししなくてはならない。

タイプライターと、箱はこに入はいった紙かみとを、ぼくは買かった。タイプライターを片手かたてにさげ、もういっぽうの腕うでで紙かみの入はいった箱はこをかかえると、相当そうとうに重おもかった。

さきほどまで聞きこえていた音楽おんがくとは別べつの音楽おんがくが、聞きこえはじめた。おなじくハワイ音楽おんがくだが、タイプは大おおきくちがっていた。その音楽おんがくも、ぼくの気持きもちをとらえた。しばらく、ぼくは聞きいていた。そして、

「このグループは、新あたらしいグループですか」

と、ぼくは、主任しゅにんのおばさんにきいてみた。

おばさんはうなずき、

「そうよ」

と、言いった。

「昔むかしのグループが、いま生うまれ変かわったような音おとですね」

「一いち九きゅう三さん〇れい年ねん代だいに実際じっさいに存在そんざいしたグループの音おとを、現代げんだいに再現さいげんしようとしているグループなのよ」

と、彼女かのじょは説明せつめいしてくれた。

二に台だいのアクースティック・スティール・ギターのデュエットが、せつなく軽かろやかに美うつくしかった。二に台だいのスティール・ギターにウクレレとハープ・ギターが加くわわり、歌うたは四よん人にんによる四よんパートだ。

「ウクレレを弾ひいてうたってるのが、私わたくしの娘むすめなの」

にっこりと、純粋じゅんすいに誇ほこらしげな微笑びしょうを浮うかべ、彼女かのじょは言いった。

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