五人とも、おそろいのアロハ・シャツを着ている。模様は、やはり花の模様がいい。ややシックな感じで、白抜きの花模様がいいだろう。地の色は、そう、グリーンだ。
グリーンの地に、花模様を白く抜いたおそろいのアロハ・シャツを、五人は着ている。そして、五人とも、下はスラックスにしよう。白いスラックスだ。男性たちふたりは白い靴をはき、三人の女性たちは白いサンダルだ。
彼らのLPのジャケットのために写真を撮影するなら、彼らを芝生の上に一列にならべて立たせると、平凡ではあるけれどうまくおさまるのではないだろうか。彼らのすぐうしろには、羊歯のような植物がうっそうと茂って、壁のように高くあるといい。三人の女性たちの両わきに、男性がひとりずつ立つ。
女性たちは、左から順に、リズム・ギター、もうひとりリズム・ギター、そして、ウクレレだ。いちばん左の女性は、その体に横幅と厚みがたっぷりとある、ポリネシアンだ。ストラップで肩からかけているギターが、ひとまわり小さく見えるほどの、堂々とした体格だ。表情も人としての雰囲気ぜんたいも、もの静かでしかも楽天的だ。度胸がすわっているような印象を受けるが、思いのほか涙もろい。
まんなかにいる、もうひとりのリズム・ギターの女性は、白人との混血であることがすぐにわかるような顔立ちと体つきであるといい。髪は濃い栗色で、彼女の表情も楽天的で人が善さそうだ。どちらかと言えば、という程度でいいから、美人であることが望ましい。
ウクレレの女性は、すこし小柄にすると、絵として面白い。彼女もポリネシア系だ。さまざまな血の重なりあいを感じさせてくれる顔だととてもいい、とぼくは思う。
いまも聞こえている音楽をつくり出している五人の姿かたちがぼくの想像のなかに出来あがったとき、売場の主任の彼女は、
「そのタイプライターなら、猛勉強につきあってくれるわ」
と、言った。
彼女の言うとおりだ。ぼくは勉強をはじめるわけではないけれど、これからこのタイプライターを酷使しなくてはならない。
タイプライターと、箱に入った紙とを、ぼくは買った。タイプライターを片手にさげ、もういっぽうの腕で紙の入った箱をかかえると、相当に重かった。
さきほどまで聞こえていた音楽とは別の音楽が、聞こえはじめた。おなじくハワイ音楽だが、タイプは大きくちがっていた。その音楽も、ぼくの気持ちをとらえた。しばらく、ぼくは聞いていた。そして、
「このグループは、新しいグループですか」
と、ぼくは、主任のおばさんにきいてみた。
おばさんはうなずき、
「そうよ」
と、言った。
「昔のグループが、いま生まれ変わったような音ですね」
「一九三〇年代に実際に存在したグループの音を、現代に再現しようとしているグループなのよ」
と、彼女は説明してくれた。
二台のアクースティック・スティール・ギターのデュエットが、せつなく軽やかに美しかった。二台のスティール・ギターにウクレレとハープ・ギターが加わり、歌は四人による四パートだ。
「ウクレレを弾いてうたってるのが、私の娘なの」
にっこりと、純粋に誇らしげな微笑を浮かべ、彼女は言った。