← Library‹ 時差のないふたつの島 8

居間いまの壁かべに寄よせてあったライティング・テーブルを、ぼくは部屋へやの中央ちゅうおうへ持もって来きた。デスクにしろテーブルにしろ、ぼくは部屋へやのまんなかに置おくのが好すきだ。

買かったばかりの電子でんしタイプライターを、そのテーブルに乗のせた。かたわらに、紙かみの入はいった箱はこを置おいた。タイプライターの電源でんげんコードが、なにもない板張いたばりのフロアの上うえを、部屋へやの片隅かたすみにむけてのびていた。そこにあるアウトレットに、コードはちょうど届とどく長ながさだった。

もうじき、午前ごぜん十じゅう時じだ。ぼくはライティング・デスクにむかってすわり、タイプライターのキーを打うっている。新あたらしいタイプライターに慣なれる練習れんしゅうであると同時どうじに、長ながいストーリーを書かくための助走じょそう路ろのような短みじかい文章ぶんしょうを、ぼくはとりとめなく朝あさから書かいている。

紙かみの入はいっている箱はこはタイプライターの右側みぎがわにあり、文章ぶんしょうを打うった紙かみは、タイプライターの左側ひだりがわに、重かさねて置おいてある。三さん種類しゅるいの短みじかい文章ぶんしょうを、ぼくは今朝けさからすでに書かいた。いちばんはじめに書かいたのは、次つぎのようなものだ。タイトルは、『黒板こくばんのメニュー』と、つけておいた。

Next chapter →
Click a word · hold for the whole sentence 0%