← Library‹ 遠野物語 めず〻ぐり

一いち 仲なかたぢ入いれろや仲なか入いれろ、仲立なかだちなけれや庭にわすんげなえ〻

○めず〻ぐりは鹿しかの妻択つまえらびなるべし。

一いち 鹿かの子こは生うまれおりれや山やま廻まわる、我われらもめぐる庭にわを廻まわるな〻

一いち 女鹿めじかたづねていかんとして白山はくさんの御お山やまかすみかゝる〻

○して、字じは〆しめてとあり。不明ふめい

一いち うるすやな風かぜはかすみを吹ふき払はらえて、今いまこそ女おんな鹿しかあけてたちねる〻

○うるすやなは嬉うれしやななり。

一いち 何なんと女おんな鹿しかはかくれてもひと村むらすゝきあけてたつねる〻

一いち 笹ささのこのはの女鹿子めじしは、何なんとかくてもおひき出ださる

一いち 女おんな鹿しか大鹿おおしかふりを見みろ、鹿しかの心こころみやこなるもの〻

一いち 奥おくのみ山やまの大鹿おおしかはことすはじめておどりでき候そろそろ〻

一いち 女おんな鹿しかとらてあうがれて心こころぢくすくをろ鹿しかかな〻

一いち 松島まつしまの松まつをそだてゝ見みとすれば松まつにからまるちたのえせもの〻

一いち 松島まつしまの松まつにからまるちたの葉はも、えんがなけれやぞろりふぐれる〻

一いち 沖おきのと中ちゅうの浜はます鳥とり、ゆらりこがれるそろりたつ物もの〻

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