(お母さまがたへ)
確かな話では、『ふしぎの国のアリス』は、5歳から15歳までのおおぜいの子どもたちに読まれたとか。同じように、15歳から25歳の子どもたちにも。それだけでなく、25歳から35歳の子どもたちにも。さらに、まさかまさか、まだ元気いっぱいで、すれてもいない、あかぬけてもいない、あきらめきってもいない、生き生きした子どもたち、子どもの頃から湧き上がる喜びの泉をそのままに欲しがる子どもたち、その長年のお話が語られぬままうやうやしく葬られるような、「それなりの」お歳の子どもたちがいらっしゃって、その方たちににまで読まれるとは。
そこで今回目指すのは(むちゃかな?)、0歳から5歳の子どもたちに読んでもらうことです。読む? いや、違う! むしろ、めくって、きゃっきゃ喜んで、端を折り曲げて、しわくちゃにして、キスしてほしいのです。読み書きのできない、えくぼのある幼い子どもたちに。子ども部屋をゆかいなさわぎ声で、その心の奥の奥を、安らかな幸せでいっぱいにしてほしいんです!
たとえば、昔知り合った子どもにこんな子がいまして――女の子には、どんなものでもひとつでじゅうぶん、パンふたつ、オレンジふたつ、何かふたつってほしがってると、きっと「がめつい」わるい子になっちゃうぞって、しつこく言いつけられてて――そんな子がある朝、ベッドで体を起こして、2本ある自分の小さなあんよをまじまじと見つめて、こうつぶやいたんです。ふと、ばつわるそうに、「まめちい!」
1890 イースターの時節に