← Library‹ 少女時代 いなくなりたい 4

ホミには写真しゃしんのアルバムが何なん冊さつかある。ゼロ歳さいから十じゅう四よん歳さいの現在げんざいまでで、すでに数すう冊さつの分厚ぶあついアルバムが出来できている。それらはひとまとめに彼女かのじょの部屋へやの本棚ほんだなにおさめてある。彼女かのじょの父親ちちおやは、カメラの会社かいしゃ、としていまの彼女かのじょが理解りかいしている会社かいしゃに勤務きんむしている、技術ぎじゅつ系けいのサラリーマンだ。彼かれは写真しゃしんが好すきだ。スティルだけではなく、8ミリもそしてヴィデオも、なにかきっかけがあるたびに、好このんで撮影さつえいする。ひとり娘むすめのホミは、彼かれにとって常つねに恰好かっこの被写ひしゃ体たいとなって来きた。そしてホミは、写真しゃしんや8ミリに自分じぶんが撮影さつえいされることを、たいへんに喜よろこぶ。

ホミが十じゅう二に歳さいのときに撮影さつえいされた数多かずおおくの写真しゃしんが貼はってあるアルバムのなかに、おなじカラー・プリントを二に枚まいならべて貼はったページがある。初夏しょかのきれいに晴はれた日曜にちよう日ひの午後ごご、父親ちちおやが自宅じたくの庭にわで撮とったホミの写真しゃしんだ。じつに可愛かわいい、頭あたまの良よさそうな、姿すがたのいい十じゅう二に歳さいのホミが、カメラのレンズに視線しせんをむけて、にっこりと微笑びしょうしている全身ぜんしん像ぞうだ。父親ちちおやは腰こしを落おとした低ひくい位置いちから、そのときのホミを撮影さつえいした。

縦たて位置いちの、まったくおなじカラー・プリントが二に枚まい、そのページには左右さゆうにならべて貼はってある。左側ひだりがわに貼はってあるプリントには、なにも手てが加くわえられていない。そしてプリントの下したには、「私わたくしがいます」と、ホミは書かいている。右側みぎがわのプリントからは、ホミの全身ぜんしんがきれいに切きり抜ぬいてある。彼女かのじょが自分じぶんで切きり抜ぬいたのだ。庭にわだけが写うつっているプリントのなかに、切きり抜ぬかれたホミの形かたちに、アルバムの黒くろい台紙だいしが見みえている。そのプリントの下したには、「私わたくしはいません」と、ホミの字じで書かいてある。カラー・プリントから切きり抜ぬいた小ちいさな紙切かみきれとしてのホミは、ほかのページの片隅かたすみに裏うらがえしに貼はってある。ホミ自身じしんがそのように貼はった。

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