← Library‹ 宇宙怪人 チンピラ隊

場面ばめんは、平野ひらの君くんのおうちの門もんのまえにうつります。

いけがきのつづいた、さびしい屋敷やしき町まちです。まだ夜よふけでもないのに、人ひとどおりは、まったくありません。むこうの町まちかどにたっている街灯がいとうが、かすかなひかりを投なげているばかりで、おそろしく暗くらいのです。

平野ひらの君くんの門もんから、すこしはなれた、いけがきの下したに、三さんびきの大おおきなイヌのようなものが、うずくまっていました。

「オイ、いま、笛ふえの音おとがしたね。なんだろう。ゆりかさんのうちの中なからしいぜ。いってみようか。」

「バカ、持もち場ばをはなれるなって、あれほど団長だんちょうが言いったじゃないか。」

「ウン、だが、もし宇宙うちゅう怪人かいじんがあらわれたとすると、おれたち、ここに、じっとしてていいのかい。」

「いいんだよ。呼よびこがなれば、刑事けいじさんがかけつけるんだ。おれたちは、持もち場ばを、はなれちゃいけないんだ。ひょっとして、怪人かいじんが、ここへ、逃にげてくるかもしれないんだからね。そうしたら、とびかかっていくんだ。わかったか。」

三さんびきの大おおきなイヌだと思おもったのは、人間にんげんでした。イヌが、口くちをきくわけはないからです。よく見みると、それは、イヌみたいな、きたない人間にんげんの子こどもでした。十じゅう四、五しご歳さいから、十じゅう二、三にさん歳さいの三さん人にんの少年しょうねんでした。ボロボロにやぶれた服ふくを着きて、あかによごれた浮浪ふろう少年しょうねんでした。

こんな浮浪ふろう少年しょうねんが、どうして、ゆりかさんのことを知しっているのでしょう。それは、かれらが、少年しょうねん探偵たんてい団だんの別働べつどう隊たいだったからです。その名なは、チンピラ別働べつどう隊たいというのです。これは、小林こばやし少年しょうねんが、数十すうじゅう人にんの浮浪ふろう少年しょうねんをあつめて、つくったもので、そのことは『青銅せいどうの魔人まじん』の本ほんに、くわしく書かいてあります。

いま、三さん人にんのチンピラが、ヒソヒソとささやいていた話はなしのなかに、「団長だんちょう」と言いうことばがありましたが、その団長だんちょうこそ、ほかならぬ小林こばやし少年しょうねんでした。今夜こんやも、小林こばやし君くんは、部下ぶかのチンピラ十じゅう数すう名めいをあつめて、平野ひらの君くんのおうちのまわりに持もち場ばをきめて、まちぶせさせておいたのです。そのうちの三さん人にんが、このいけがきの下したに、かくれていたのです。

「シッ、だまって。ゆりかさんのうちの門もんから、だれか出でてきたぜ。」

年ねんうえのチンピラが、ほかのふたりを、だまらせました。イヌのように、うずくまった三さん人にんの六むいつの目めがやみの中なかで、キラキラ光ひかって、じっとそのほうを見みつめます。

オーバーにソフトの、みょうなやつが、ひとりの少女しょうじょを、こわきにかかえ、こちらへ、歩あるいてきました。暗くらやみになれたチンピラたちの目めには、それがハッキリ見みえたのです。

地面じめんに近ちかいところから、見みあげているチンピラたちのまえに、みるみる、銀ぎん仮面かめんの怪人かいじんのすがたが、大おおきくなってきました。

年ねんうえのチンピラが、ほかのふたりを、ひじで、グイとこづきました。「とびかかれ。」という、あいずです。

チンピラは、三さんびきのイヌのように、とびかかっていきました。そして、いきなり怪人かいじんの足あしにしがみついたのです。

さすがの宇宙うちゅう怪人かいじんも、ふいをつかれて、思おもわず、立たちどまりました。そして、「ウーッ。」という、けだもののような、うなりごえをあげましたが、あいてが子こどもとわかると、すっかり安心あんしんしたようです。

「ナニスルカ、キミ、ダレダ?」

ぶきみな声こえで、しかりましたが、チンピラたちはむちゅうで、くみついたまま、はなれません。

怪人かいじんは、いきなり、右みぎあしをあげて、しがみついているひとりを、けとばしました。チンピラは「ワーッ。」と、さけんで、遠とおくのほうへ、ころがっていき、そのまま、おきあがることができません。

またたくまに、三さん人にんのチンピラは、つぎつぎと、けとばされ、いくじなくへたばってしまいました。星ほしの世界せかいの怪物かいぶつにかかっては、いかにゆうかんなチンピラ隊たいも、どうすることもできないのでした。

怪人かいじんは、ゆりかさんをかかえたまま、走はしりだしました。おそろしい早はやさです。まるで風かぜのように、飛とんでいくのです。

ところが、いけがきのかどをまがると、またしてもピョンピョンと、とびついてくるものがありました。そこにかくれていた、べつのチンピラ隊たいです。こんども、三さん人にんでした。かれらは、三方みかたから、怪人かいじんのオーバーにとりすがって、はなさないのです。

そのとき、暗くらやみの、むこうのほうから、パタパタと足音あしおとがして、五、六ごろく人にんのチンピラ隊たいがあらわれました。べつの持もち場ばにいたのが、応援おうえんに、やってきたのです。

いくら子こどもでも、こんなにおおぜいでは、たいへんです。宇宙うちゅう怪人かいじんも、すこし、しんけんになったようすで、「ウーッ。」と、おそろしいうなりごえをたてたかと思おもうと、オーバーにしがみついている三さん人にんのチンピラを、力ちからまかせにふりはらい、けとばして風かぜのようにかけだしました。

少年しょうねんたちは、しばらくは、怪人かいじんのあとを追おいましたが、とても、かないません。みるみるうちに、あいだが、へだたって、やがて、暗くらやみのなかに、そのすがたを見みうしなってしまいました。

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