← Library‹ 魔法博士 洞窟の怪黒人

さて、種たねあかしがおわりますと、黄金おうごん怪人かいじんは、三日月みかつきがたのぶきみな口くちで、ケラケラと笑わらいました。そして、またもや、ふしぎなことを、いいだすのでした。

「いまもいうとおり、わしは明智あけち探偵たんていを、きっと、ここへつれこんで、わしの部下ぶかにしてみせるがね。それまでには、まだしばらくあいだがある。そのひまに、きみたち三さん人にんに、この地底ちていの国くにの、びっくりするような魔法まほうを見みせてやることにしよう。ふつうの世界せかいでは、とても見みられないような、ふしぎなものばかりだよ。さあ、それじゃ、三さん人にんを向むこうのインド魔術まじゅつの洞窟どうくつへ、案内あんないしてやりたまえ。」

怪人かいじんが、黒くろ覆面ふくめんの男おとこに命めいじますと、黒くろ覆面ふくめんは、小林こばやし君くんと、ほんもののほうの井上いのうえ、野呂のろの二に少年しょうねんを黄金おうごんの部屋へやからつれだしました。少年しょうねんたちは、いやだといっても、とりこの身みのうえですから、どうすることもできません。しかし、べつに、ひどいめにあわされるわけではなく、なにか、ふしぎな魔法まほうを見みせてくれるというのですから、いくらか、見みたいような気きもします。ともかく、黒くろ覆面ふくめんについていくことにしました。

トンネルのようなせまい洞穴ほらあなを、すこしいきますと、パッと、あたりが広ひろくなって、恐おそろしくでっかい洞窟どうくつの中なかへ出でました。電灯でんとうは、いくつかついていますが、洞窟どうくつが広ひろいので、向むこうのほうは、まっ暗くらですし、てんじょうも、ひじょうに高たかくて、見みとおしがききません。

三さん人にんがそこへはいって、キョロキョロと、あたりを見みまわしているうちに、黒くろ覆面ふくめんの男おとこは、暗くらやみの中なかへ吸すいこまれるように、姿すがたが見みえなくなってしまいました。

「へんだね、あの人ひと、どっかへ消きえてしまったよ。これから、なにがおこるんだろう? ぼく、きみが悪わるいよ。ねえ、小林こばやしさん、あとへもどろうよ。」

ノロちゃんが、れいによって、よわねをはきました。

すると、そのとき、洞窟どうくつの右手みぎてのほうから、ヒラヒラと、白しろいものが、とびだしてきたのです。おばけかしらと、ギョッとしましたが、おばけではありません。ひとりのまっ黒くろな顔かおをした、黒人こくじんの老人ろうじんです。頭あたまはまっ白しろで、白しろい口くちひげと、あごひげをはやした、しわくちゃの老人ろうじんです。やせたからだに、だぶだぶの白しろい大おおきなきれを、肩かたからはすにまきつけています。写真しゃしんで見みたインドの坊ぼうさまみたいな身みなりです。なにに使つかうのか、太ふとい縄なわをまるくまいて、小こわきにかかえています。

その老人ろうじんは、からだにまいた白しろいきれを、ヒラヒラさせながら、洞窟どうくつのまん中なかまでくると、そこに立たちどまって、へんなしわがれた声こえで、少年しょうねんたちに話はなしかけました。

「おまえたちに、これからおもしろいものを見みせてやるよ。世界せかいのなぞといわれているインドの大だい魔術まじゅつじゃ。ほら、この縄なわをごらん。これを空そらに向むかって、投なげあげるのじゃ。そうすると、この長ながい縄なわが、ぴんと、まっすぐに立たったまま、落おちてこないのじゃ。さて、それから、じつにふしぎなことが、はじまる。おまえたち、そこから、よく見みているがいい。」

といったかとおもうと、老人ろうじんは、小こわきにかかえていた縄なわのはしをつかんで、まるで、投なげ縄なわでもするようなかっこうになって、恐おそろしいいきおいで、それをぱっとてんじょうに投なげあげました。

縄なわは、スルスルと、洞窟どうくつのてんじょうに向むかってのびていき、そのままシャンと、まっすぐに立たちました。すこしも落おちてこないのです。縄なわの柱はしらができたわけです。長ながく長ながくのびて、てんじょうのほうは、暗くらやみにかくれて見みえなくなっています。

「さて、これから、どんなことが、おこるじゃろう。よく見みていなさい。」

老人ろうじんは、そういいのこして、スーッと、右手みぎてのやみの中なかに消きえていきました。すると、それといれかわりに、十じゅう歳さいぐらいの小ちいさな子こどもが、チョコチョコと、かけだしてきました。その子こどもは、からだじゅうが、赤あかと白しろのだんだらぞめになっているのです。つまり、赤あかと白しろの太ふといしまのシャツとズボンをきて、おなじ赤白あかしろの運動うんどう帽ぼうをかぶっているのです。顔かおはまっ黒くろで、大おおきな白しろい目めがクリクリしています。やっぱり、黒人こくじんの子こです。

その子こどもは、まっすぐに立たっている縄なわのそばまでくると、こちらを向むいてニッコリ笑わらいました。すると、まっ黒くろな顔かおの中なかに、白しろい歯はがむきだしになり、目めと歯はだけが、白しろくとびだしているように見みえるのでした。

それから、赤白あかしろだんだらぞめの子こどもは、縄なわを登のぼりはじめました。まるで、サルのように、まっすぐの縄なわを、上うえの方ほうへ登のぼっていくのです。

そのとき、またもや、右手みぎてのやみの中なかから、ぱっと、みょうなものが、とびだしてきました。

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