← Library‹ 探偵少年 トラのゆくえ

こんどは、魔法まほう博士はかせが、さきに立たっているのですから、道みちしるべのひもなんかなくっても、だいじょうぶです。少年しょうねんたちは、なんなく、鍾乳しょうにゅう洞どうの外そとに出でました。

「黄金おうごんのトラのかくし場所ばしょを、おしえてあげるから、こちらへ、おいで。」

魔法まほう博士はかせは、そういって、山やま小屋こやのほうへ、おりていきます。

山やま小屋こやへ近ちかづいたとき、さきに歩あるいていたノロちゃんが、びっくりしたように立たちどまりました。

「あらっ、へんなやつが、のぞいている!」

山やま小屋こやのうしろから、ヒョイとのぞいた人間にんげんの顔かおが、その声こえにおどろいて、ひっこんでしまいました。なんだか、ひげむじゃのきたない顔かおで、山男やまおとこのようなやつでした。

「ハハハ……、あれはきみたちの、よく知しっている人ひとだよ。おい、もういいから、出でてきなさい。」

魔法まほう博士はかせによばれて、小屋こやのかげから、ノッソリあらわれたのを見みると、その男おとこは背広せびろのうえに、ネズミ色いろのオーバーをきて、りっぱな紳士しんしのふうをしています。それでいて、顔かおだけが、山男やまおとこのようにきたないのです。なんだか、気味きみのわるいやつです。いったい、だれなのでしょう。

「ハハハ……、まだわからないかね。これが、ほんとうの山やま小屋こやのじいさんだよ。わしが、このじいさんにばけて、きものをかりたので、じいさんは、わしの服ふくをきているのさ。」

魔法まほう博士はかせの説明せつめいで、やっと、わけがわかりました。そういえば、博士はかせのほうも、ピンとはねた口くちひげのある顔かおににあわない、きたない服ふくをきているのです。

「黄金おうごんのトラは、いったい、どこにかくしてあるんですか。」

井上いのうえ少年しょうねんが、前まえに出でてたずねました。

「うん、それはね、さっき、きみたちがここへきたとき、わしは、じいさんにばけて、キセルでタバコをすっていたね。おぼえているかい。その目めの前まえにあったのさ。いまでも、きみたちの目めの前まえにあるんだよ。」

魔法まほう博士はかせは、にやにやと笑わらいました。

少年しょうねんたちは、それをきくと、山やま小屋こやのなかにあがりこんで、せまい部屋へやを探さがしまわりましたが、どうしても、見みつけることができません。

「ハハハハ……、戸とだなや、ひきだしを探さがしたって、だめだよ。ほら、きみたちのすぐ目めの前まえにあるんだ。わしが、どこでタバコをすっていたか思おもいだしてごらん。いろりの前まえだったね。いろりには、火ひがなくて灰はいばかりだったね。

ほら、よく見みたまえ。このいろりの灰はいのなかに、ピカッと光ひかったものが、見みえるじゃないか。」

魔法まほう博士はかせは、ひばしでいろりのすみを、さししめしました。そこの灰はいのなかに、画がビョウのあたまほどの小ちいさい金色きんいろのものが、光ひかっているのです。

「ほら、これが黄金おうごんのトラの、しっぽのさきだよ。

どうだね、黄金おうごんのトラは、ちゃんと、きみたちの目めの前まえにあっただろう。よくおぼえておきたまえ。ものをかくすときは、あいてが、まさかと思おもうような場所ばしょへ、わざと、ほうり出だしておくのが、いちばん、うまいかくしかたなんだよ。」

博士はかせは、そういって灰はいのなかから、キラキラ光ひかる黄金おうごんのトラを取とりだし、てのひらの上うえにのせて、ながめるのでした。

「さあ、もう一いち度ど、これを、きみたちに渡わたすから、こんどは、もっとうまくかくしてごらん。きみたちが、いくら知恵ちえをしぼっても、わしは魔法まほうの力ちからで、すぐに盗ぬすみだしてみせる。それをまた、きみたちが探さがすのだ。さいしょから二にヵ月かげつという約束やくそくだから、まだ、じゅうぶん日ひにちがある。そのあいだに、これを取とりかえせば、やっぱり、きみたちの勝かちになるのだよ。」

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