← Library‹ 探偵少年 追跡

お話はなしはかわって、やはりその日ひの、午後ごご四し時じすこしまえ、セトモノ屋やの今井いまい君くんの店みせのむこうがわに、一いち台だいのから自動じどう車しゃがとまっていました。

そのなかには、小林こばやし団長だんちょうと、今井いまい君くんと、今井いまい君くんのにいさんの大学だいがく生せいとが、かくれているのです。

魔法まほう博士はかせは、黄金おうごんのトラが、今井いまい君くんの店みせに、かくしてあるのを知しって、コッソリ、やってくるかもしれないからです。

今井いまい君くんのにいさんは、自動じどう車しゃの運転うんてんがうまいので、少年しょうねん探偵たんてい団だんのみかたになって、知しりあいのガレージから自動じどう車しゃをかり出だし、運転うんてん席せきにかくれて、そこに待まちぶせしているのです。小林こばやし、今井いまいの二に少年しょうねんもうしろの席せきにかくれていました。みんな、窓まどよりひくく身みをふせていたので、外そとからは、だれものっていないように見みえるのです。

小林こばやし団長だんちょうは、トラックについている、まるいバックミラーを、ガレージからかりてきて、自動じどう車しゃの窓まどのところへ出だして、下したから見みていました。このバックミラーは凸面鏡とつめんきょうになっているので、ふつうの鏡かがみよりも、ずっとひろいけしきがうつります。それを、むこうがわのセトモノ屋やの店みせにむけて、黄金おうごんのトラの、かくしてあるたなを見みはっているのです。

「あっ、へんなじいさんが来きたよ。見みてごらん。ね、なんだか、あやしいやつだね。」

鏡かがみにそれがうつっていました。大おおきなめがねをかけ、白しろいあごひげを胸むねまでたらし、茶色ちゃいろのコートをきて、黒くろいトルコ帽ぼうのようなものをかぶったじいさんが、つえにすがって、ヨチヨチと、セトモノ屋やの店みせへはいっていくのです。

店みせには、たくさんの客きゃくがいました。じいさんは、そのなかにまじって、だんだん、黄金おうごんのトラのかくしてあるオモチャのたなのほうへ、近ちかづいていきます。

そして、そのたなの前まえに立たつと、キョロキョロと、あたりをぬすみ見みて、スーッと、手てをたなの上うえにのばしました。

「あっ、たいへんだっ。トラを……。」

今井いまい君くんが、さけびました。

あやしい老人ろうじんは、セトモノに見みせかけてある黄金おうごんのトラをひっつかんで、サッと、ふところへいれてしまったのです。店員てんいんも、そばにいた客きゃくも、すこしも、それに気きがつきません。じいさんは、そのまま、コソコソと店みせの外そとへ出でて、むこうの電車でんしゃ通とおりのほうへ歩あるいていきます。

「あのじいさんのあとを、つけてください。」

小林こばやし君くんが、運転うんてん席せきに声こえをかけました。

セトモノ屋やの店みせを、二十にじゅうメートルもはなれると、つえにすがってヨボヨボしていたじいさんの足あしが、にわかに早はやくなりました。まるで青年せいねんのように、おおまたに歩あるくのです。

小林こばやし君くんたちの自動じどう車しゃは、あいてに気きづかれぬように遠とおくはなれて、ノロノロと、そのあとをつけていきます。

「あっ、へんな自動じどう車しゃがいる。あれにのるのかもしれない。」

電車でんしゃ通とおりのかどに、青色あおいろの大おおきな自動じどう車しゃがとまっていました。じいさんはツカツカと、そのそばによると、いきなりドアを開ひらいて、うしろの席せきにとびこみました。そして、その自動じどう車しゃは、おそろしい早はやさで走はしりだしたのです。

「にいさん、全ぜん速力そくりょくだよ。あの青あおい自動じどう車しゃを見みうしなわないように。」

今井いまい君くんが、運転うんてん席せきによびかけました。

「よしっ、こころえたっ。にいさんのうでまえを、見みているがいい。」

映画えいがのような自動じどう車しゃの追跡ついせきです。

青あおと黒くろの自動じどう車しゃは、二に―三十さんじゅうメートルをへだてて、町まちから町まちへと、おそろしい早はやさで走はしりました。青色あおいろ自動じどう車しゃは、さびしいほうへ、さびしいほうへと、まがっていきます。そして三十さんじゅう分ふんほどのちには、大おおきな川かわのそばに出でました。

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