← Library‹ 探偵少年 少女の悲鳴

西洋せいよう館かんのよこてに、物置ものおき小屋こやがあって、その前まえにはしごがおいてありました。人造じんぞう人間にんげんは、ふじゆうな手てで、そのはしごをつかむと、ズルズルと、西洋せいよう館かんの窓まどの下したへひきずっていき、それを二に階かいの窓まどへたてかけました。

それから、はしごをのぼりはじめたのです。機械きかい人間にんげんが、はしごをのぼる姿すがたは、じつに気味きみのわるいものでした。

「あらっ。窓まどからはいるつもりだよ。あいつ、どろぼうかもしれない。おまわりさん、呼よんでこようか。」

ノロちゃんが、心配しんぱいそうに、ささやきました。

「まちたまえ。もうすこし、ようすをみよう。」

小林こばやし団長だんちょうはおちついています。人造じんぞう人間にんげんは、とうとう二に階かいの窓まどまでのぼりつきました。

二に階かいの窓まどは、なかから、しまりがしてないのか、人造じんぞう人間にんげんは、そのガラス戸とを、ソーッと開ひらいて、窓まどのなかへはいっていきました。

「おまわりさんよりも、ここのうちの人ひとに、しらせてあげよう。もし、しらないでいると、たいへんだからね。」

小林こばやし君くんは、そういって、ノロちゃんといっしょに、正面しょうめんの入口いりぐちへひきかえしました。

入口いりぐちのベルをおしましたが、いくら待まっても、だれも出でてきません。へんだなとおもって、ドアをおしてみますと、音おともなく開ひらきました。ここも戸とじまりがしてないのです。

窓まどの小ちいさい、きゅうしきな建物たてものですから、なかは昼間ひるまでもうす暗ぐらく、シーンとしずまりかえって、まるで、空家あきやのようです。

「ごめんください。」

大おおきな声こえで呼よんでみましたが、なんのへんじもありません。ノロちゃんはもどかしくなって、くつをぬいで、いきなり、廊下ろうかへあがっていきました。

「だれもいないんですか。ごめんなさーい!」

びっくりするような声こえで、どなりました。やっぱりシーンとしています。

「へんだなあ。ここ空家あきやかしら。」

そのときです。西洋せいよう館かんのおくのほうから、

「キャーッ、たすけてえ……。」

という女おんなの悲鳴ひめいが、聞きこえてきました。

ノロちゃんは、それをきくと、くつもはかないで、入口いりぐちの外そとへ逃にげだしました。野呂のろ一平いっぺい君くんは、探偵たんてい団だん員いんにもにあわない、おくびょうものです。

小林こばやし少年しょうねんは、すばやく、ノロちゃんを追おっかけて、ドアのなかへ、ひきもどしました。

ひきもどされたノロちゃんは、大おおきな目めをキョロキョロさせて、なにか出でてきたら、すぐ逃にげだせるように、へんな腰こしつきをしています。

「いまのは、小ちいさい女おんなの子この声こえだったぜ。さあ、いってみよう。ひどいめにあわされていたら、助たすけてやらなけりゃあ。」

小林こばやし君くんは、ノロちゃんの手てを、グッとひっぱりました。

小林こばやし君くんも、くつをぬいで上うえにあがり、ノロちゃんの手てをひっぱって、廊下ろうかをグングン、おくへはいっていきました。

「キャーッ、だれか来きてえ……。」

またしても、耳みみをつんざく悲鳴ひめい! ノロちゃんは、からだをピクンとさせて、逃にげようとしましたが、小林こばやし君くんに、グッとにらみつけられました。

「きみ、それでも少年しょうねん探偵たんてい団だん員いんかっ!」

廊下ろうかをまがると、むこうの部屋へやのドアが、開ひらいたままになっていました。そして、その中なかから、へんなもの音おとが聞きこえてきます。

「あの部屋へやだ。のぞいてみよう。」

ドアのところまでいって、そっと中なかをのぞきました。すると、その洋室ようしつのテーブルの下したに、かわいらしい少女しょうじょが、グッタリと、たおれていたではありませんか。

たおれていたのは、ピンクの洋服ようふくをきた、十じゅう二に―三さん歳さいの少女しょうじょでした。

「どうしたの? だれが、こんなめにあわせたの?」

小林こばやし君くんがかけよって、少女しょうじょをだきおこして、たずねました。少女しょうじょは、よほどこわかったとみえて、口くちもきけないのです。ただ、つぎの部屋へやを、ゆびさすばかりでした。

少女しょうじょが、「あちら、あちら。」というように、ゆびさすので、そのほうを見みますと、つぎの部屋へやへ通つうじるドアが、半分はんぶんひらいていました。きっと人造じんぞう人間にんげんです。あいつが少女しょうじょを、つきたおしておいて、あの部屋へやへ、はいっていったのです。

小林こばやし君くんは、またノロちゃんの手てをひっぱって、その部屋へやへ、はいっていきました。その部屋へやは、なぜか夜よるのようにまっ暗くらでした。

その部屋へやは、窓まどのよろい戸どが、ぜんぶしめてあって、まっ暗くらでしたが、てんじょうと、壁かべの床ゆかに近ちかいところに、一ひとつずつ電灯でんとうがついていて、それが、こちらへ、強つよい光ひかりをなげています。

「あっ、いた、いた。あいつだっ!」

ノロちゃんは、ギョッとして、また逃にげだしそうになりました。部屋へやのすみに、あの人造じんぞう人間にんげんが、ニューッとたっていたからです。

Next chapter →
Click a word · hold for the whole sentence 0%