ふたつの電灯が、こちらをむいているので、そのむこうは、まっ暗です。そこに、ぶきみなロボットが、たちはだかって、こちらを、にらみつけています。
「小林さん、帰ろうよ。ぼく、いやだよ。」
ノロちゃんが、泣きだしそうな声でいいました。
でも、小林君は、ノロちゃんの手をはなしません。
そのとき、おそろしいことがおこりました。ロボットが、右手を高くあげて、サッと、ひとふりすると、その手が、どっかへ飛んでいって、見えなくなってしまいました。
はっとして見つめていますと、こんどは左の手を、サッとふりました。すると左手も、からだからちぎれて、どっかへ、飛びさってしまったではありませんか。
両手のなくなったロボットは、しばらく、電灯のむこうがわを行ったり来たりしていましたが、こんどは右の足を、バレエでもおどるように、パッと、高くあげたかとおもうと、その足も、どこかへ消えてしまいました。
あとには、左の足が一本のこっているばかりです。一本足のロボットです。むかしの本にのっているおばけの絵と、そっくりです。
あまりのふしぎさに、ふたりの少年は身うごきもできなくなって、夢でも見ているような気持で、おばけロボットを見つめていました。
一本足のロボットは、ピョイ、ピョイと、右左にとびあるいていましたが、その一本足も、ヒューッと、どこかへ飛びさって、見えなくなってしまいました。
手も足もなくなったロボットの、首と胴だけが、下に落ちもしないで空中にただよって、ユラユラゆれているのです。
「エヘヘヘヘヘ……。」
ロボットの口が、三日月がたに、キューッとひらいて、気味のわるい笑い声をたてました。
そして、その笑い声が消えないうちに、またもや、こんどは……。
あっとおもうまに、ロボットの胴体が、かき消すように、なくなってしまったではありませんか。
あとには、かくばったロボットの首ばかりが、フラフラと、宙に浮いているのです。そして、その首が、三日月がたの口をパクパクやって、ヘラヘラと笑いながら、空中を、スーッとこちらへ近づいてくるのです。
ロボットの首だけがヘラヘラ笑いながら、空中を、スーッとこちらへ近づいてくるのを見て、おくびょうもののノロちゃんは、いきなり、小林君にだきついて、
「ワー……、たすけてくれえ……。」
と、悲鳴をあげました。
さすがの小林君も、気味がわるくなってきました。
でも、小林君は、逃げだしません。世のなかに、おばけなんているはずがないと、しんじていたからです。ロボットの首が、宙に浮いているのは、きっと、なにか、しかけがあるのだと、かんがえたからです。
それで、こわがるノロちゃんをだきしめて、空中にただよっているロボットの首を、グッとにらみつけました。
小林君は、名探偵明智小五郎の少年助手として、「透明怪人」(この文庫第三十三巻)や「宇宙怪人」(第三十四巻)の事件で、こんなことには、たびたび出あっていますから、それほど、こわいとも思いません。
首ばかりのロボットは、小林君ににらみつけられて、ひるんだのか、スーッと、むこうのほうへ遠ざかっていきましたが、そのまま、パッとかき消すように、見えなくなってしまいました。