← Library‹ 電人M 研究室の怪

そのあくる日ひの朝あさ早はやく、治郎じろう君くんは庭にわに出でて、外そとから、窓まどガラスを調しらべてみましたが、すると、あのふしぎのわけがわかりました。怪人かいじんはいつのまにか、そのガラスに、接着せっちゃく剤ざいで大おおきなMの字じを書かいておいたのです。それに木この葉はがたくさん、くっついたというわけでした。

わかってみれば、なんでもないことですが、あの恐おそろしい電でん人にんMが、庭にわにしのびこんで、そんなことをやったかと思おもうと、やっぱりきみが悪わるいのです。

治郎じろう君くんは、その日ひ、学校がっこうへいって、同級どうきゅうの親友しんゆう、森田もりた君くんに、このことを話はなしました。すると、森田もりた君くんは少年しょうねん探偵たんてい団だん員いんだったので、すぐに、こう答こたえました。

「明智あけち先生せんせいに相談そうだんするといい。その前まえに、ぼくらの団長だんちょうの小林こばやしさんに話はなそう。きっといい考かんがえがあるよ。」

そして、学校がっこうが終おわると森田もりた君くんは遠藤えんどう治郎じろう少年しょうねんを連つれて、麹町こうじまちの明智あけち探偵たんてい事務じむ所しょを訪たずねました。

明智あけち先生せんせいは留守るすでしたが、小林こばやし少年しょうねんは事務じむ所しょにいて、こころよく、相談そうだんにのってくれました。

「電人Mなら、ぼくはよく知しってるよ。いつか、あいつに日本橋にほんばしのMビルへ呼よびだされたことがある。そして、自動じどう車しゃで、月がつ世界せかい旅行りょこうの見世物みせもののところまで追跡ついせきしたんだよ。あのとき、ぼくは電人Mというのは見世物みせものの広告こうこくに使つかわれているのだと思おもったが、やっぱり、そうじゃなかったんだね。あの月つき世界せかいの見世物みせものにだって、どんなたくらみがあるか、しれたもんじゃないよ。

電人Mは、きみのおとうさんの秘密ひみつを手てに入いれるために、きみをかどわかすつもりかもしれない。よしっ、ぼくたちがきみを守まもってあげよう。

今夜こんやにも、なにか起おこるかもしれない。ぼくは森田もりた君くんといっしょに、アケチ一いち号ごうの自動じどう車しゃに乗のって、きみの家いえの回まわりを守まもってあげるよ。いざというときには、無電むでんでパトロール・カーを呼よぶから、だいじょうぶだ。なにか起おこっても、きっときみを助たすけてみせるよ。」

小林こばやし少年しょうねんは、たのもしげに、約束やくそくするのでした。

さて、その晩ばんのことです。遠藤えんどう博士はかせ邸ていに、またしても、ふしぎなことが起おこりました。

もう九きゅう時じを過すぎていました。研究けんきゅう室しつに閉とじこもっている遠藤えんどう博士はかせが、ちょっと茶ちゃの間まへ行いって、お茶ちゃをのんで、ひと休やすみしてから、また研究けんきゅう室しつへもどるために、廊下ろうかを歩あるいていますと、助手じょしゅの木村きむら青年せいねんと行いきあいました。

木村きむら助手じょしゅは博士はかせを見みると、びっくりしたように、たちどまって、

「あっ、先生せんせい、研究けんきゅう室しつにいらっしゃったのではないのですか。」

と、たずねるのです。

「ちょっと、茶ちゃの間まへ行いっていた。いま研究けんきゅう室しつへもどるところだ。」

それを聞きくと、木村きむら助手じょしゅはいよいよ、へんな顔かおをしました。

「おかしいなあ。先生せんせいは、いましがた、治郎じろうさんを研究けんきゅう室しつへ呼よんでくれとおっしゃって、ぼくが治郎じろうさんをつれていったばかりですよ。先生せんせいが研究けんきゅう室しつにいらっしゃらなかったとすると、あんな命令めいれいをしたのは、だれでしょう?」

「きみは、わしの顔かおを見みたのかね。」

「いいえ、声こえを聞きいたばかりです。ドアをちょっと開ひらいて、中なかからぼくの部屋へやへ声こえをかけられたのです。ですから、先生せんせいの顔かおを見みたわけじゃありません。」

「そりゃ、おかしい。すぐにいってみよう。わしは治郎じろうを呼よんでこいなどと言いったおぼえはないのだ。」

ふたりは、大急おおいそぎで、研究けんきゅう室しつの前まえにかけつけて、ドアを開ひらこうとしましたが、中なかからかぎがかかっていて開ひらきません。そして、部屋へやの中なかからは、治郎じろう君くんのけたたましい声こえが聞きこえてくるではありませんか。

「いやだっ。きみなんかと、いっしょに行いくのは、いやだっ。」

「なんといってもだめだぞ。おれはおまえをつれていくのだ。」

それは、あの聞ききおぼえのある、機械きかいのきしるような声こえでした。電人Mです。電人Mがいつのまにか、研究けんきゅう室しつにはいって、治郎じろう君くんをどこかへ連つれ去さろうとしているのです。

「だれかきてください。……助たすけてえ……。」

治郎じろう君くんのさけび声ごえです。もう、一刻いっこくも猶予ゆうよはできません。

博士はかせはからだごと、ドアにぶっつかっていきました。二に度ど、三さん度ど、ドシンドシンと、ぶっつかっているうちに、ギギギ……と音おとがして、ちょうつがいがはずれ、ドアが斜ななめ向むこうに倒たおれて、人ひとのはいる隙間すきまができました。

とびこんでみると、おやっ! 部屋へやの中なかはからっぽです。窓まどの鉄てつ格子こうしも、ちゃんとはまったままどこを捜さがしても、人間にんげんふたりのぬけだした隙間すきまはありません。

あいつは、ふしぎな魔法まほうで、消きえうせたのです。自分じぶんだけでなくて、治郎じろう君くんまで消けしてしまいました。ああ、いったい、これには、どんな秘密ひみつがあるのでしょうか。

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