← Library‹ 妖星人R Rすい星

はじめて、そのふしぎなすい星せいを発見はっけんしたのは、イギリスの天文てんもん学がく者しゃでした。そのすい星せいはいままでに知しられている、どのすい星せいともちがった、奇怪きっかいなすい星せいでした。

すい星せいといえば、天空てんくうのまい子このような星ほしで、うしろに、ほうきのようにひらいた、白しろい光ひかりの尾おをひいているのがふつうですが、こんどのすい星せいは、その光ひかりの尾おが、ネジのように、グルグルまわっているのです。光ひかりのネジは、さきのほうほどふとい輪わになって、それがゆっくり、まわっているのです。

発見はっけんされるとすぐ、その望遠ぼうえん鏡きょう写真しゃしんが、世界せかいじゅうの新聞しんぶんにのり、大おおさわぎになりました。各国かっこくの天文てんもん学がく者しゃは、大だい望遠ぼうえん鏡きょうにしがみついて、そのすい星せいをしらべました。

それは、ふつうのすい星せいとは、まったくちがった、きみょうな星ほしでした。すい星せいがなにでできているかは、まだよくわからないのですが、ふつうは、小ちいさな粒つぶがあつまって、光ひかりのかたまりとなったものだといわれています。

しかし、こんどのは、粒つぶのあつまりでなくって、ひとつの小ちいさな星ほしが、うしろにネジネジの光ひかりの尾おをひいて、とんでいるのです。

このふしぎな星ほしは、形かたちがすい星せいににているので、Rすい星せいと名なづけられました。さいしょ発見はっけんした学者がくしゃの名なまえのかしら文字もじをとったものです。

しばらく日ひがたつと、Rすい星せいは肉眼にくがんでも見みえるほどに、ちかづいてきました。ネジのような光ひかりの尾おが、グルグルまわっているのも見みえるのです。

夜よるになると、東京とうきょうでも、ニューヨークでも、ロンドンでも、パリでも、モスクワでも、世界せかいじゅうの人ひとが、空そらをあおいで、この気味きみのわるいすい星せいをながめるのでした。そして、しんぱいそうに、ボソボソと、ささやきあうのでした。

そのうちに、おそろしいうわさが、ひろがってきました。

Rすい星せいは地球ちきゅうにむかって進すすんでいる。地球ちきゅうの軌道きどうにぶっつかるかもしれない。大だいしょうとつをおこして、地球ちきゅうは分解ぶんかいしてしまうかもしれない。そういうことを、どこかの国くにの天文てんもん学がく者しゃがいいだすと、つぎつぎと、それに同意どういする天文てんもん学がく者しゃがでてきたのです。

各国かっこくの天文てんもん学がく者しゃは、むちゅうになってRすい星せいの軌道きどうを計算けいさんしました。そして、地球ちきゅうとしょうとつする、しないと、二ふたつの説せつにわかれて、大だい論争ろんそうがつづきました。

全ぜん世界せかいの人ひとびとは、ふるえあがってしまいました。もし大だいしょうとつがおこれば、地球ちきゅうそのものが、くだけちってしまうのです。原子げんし力りょく戦争せんそうどころのさわぎではありません。原子げんし力りょく戦争せんそうならば、ふかく地下ちかに穴あなをほって、たすかるくふうもありますが、すい星せいの大だいしょうとつには、なんの方法ほうほうもないのです。地球ちきゅうは大だい爆発ばくはつをおこしこなごなになって、人間にんげんも、動物どうぶつも、植物しょくぶつも、いっしゅんにとけてなくなってしまうのです。

地球ちきゅうにしょうとつするか、しないかという天文てんもん学がく者しゃの論争ろんそうは、ますますはげしくなってきました。天文てんもん学がく者しゃばかりではありません。人ひとがふたりよれば、その議論ぎろんがはじまるのです。そして、世界せかいじゅうの人間にんげんが、しょうとつするという派はと、しない派はと、二ふたつにわかれて、毎日まいにち毎日まいにち、あらそっているありさまでした。

もし、しょうとつするときまってしまえば、世よの中なかはたいへんなことになったでしょう。地球ちきゅうの人類じんるいが、みんな死しんでしまうときまれば、だれも働はたらかなくなるでしょう。工場こうじょうの機械きかいはうごかなくなり、学校がっこうへはだれもいかなくなり、裁判さいばん官かんも警察けいさつ官かんも、つとめをなげだしてしまい、みんなは、したいほうだいのことをして、あそびまわったでしょう。どろぼうなんかあたりまえになり、とりたいものをとり、たべたいものをたべるというありさまで、おまわりさんも、そのなかまになってしまうのですから、もうめちゃくちゃです。ほんとうに、この世よのおわりなのです。

気きのよわい人ひとは、大だいしょうとつまで生いきている勇気ゆうきがなくて、自殺じさつするかもしれません。あちらにも、こちらにも、自殺じさつ者しゃがぞくぞくあらわれることでしょう。

しかしさいわいなことに、そこまでにはいきませんでした。世界せかいの半分はんぶん以上いじょうの天文てんもん学がく者しゃが、しょうとつしないといいはっていたからです。その中なかには天文てんもん学がくの権威けんいといわれるような、えらい学者がくしゃも、たくさんありましたので、人ひとびとはその説せつにすがって、わずかな心こころをおちつけていました。この世よのおわりの、めちゃくちゃさわぎは、まだおこりませんでした。

すると、こんどは、またべつのうわさが、ひろがってきました。

ある国くにの天文てんもん学がく者しゃがいいだしたのが、たちまち、新聞しんぶんや、テレビ、ラジオで、世界せかいじゅうにひろがったのですが、Rすい星せいの軌道きどうが、どうもおかしい。天文てんもん学がく上じょうの法則ほうそくどおりに進すすんでいない。もしかしたら、あれは、自分じぶんかってにとんでいる、巨大きょだいな宇宙うちゅう船せんではないか、という説せつなのです。

どこか、遠とおい遠とおい星ほしに、ひじょうに進歩しんぽした生物せいぶつがすんでいて、すい星せいのような巨大きょだいな宇宙うちゅう船せんをつくり、宇宙うちゅうをとびまわっているのではないかというのです。もし、そうだとすれば、Rすい星せいの大おおきさからかんがえると、この宇宙うちゅう船せんには何千なんぜん何なん万まんの生物せいぶつがのりこんでいるにちがいありません。一ひとつの都会とかいが空そらをとんでいるようなものなのです。

それが地球ちきゅうのほうにむかって進すすんでくるのですから、かれらは地球ちきゅうに人間にんげんという進歩しんぽした生いきものがいることを知しっていて、地球ちきゅうを見物けんぶつするために、やってくるのかもしれません。

それならば、大だいしょうとつをおこすようなことはないでしょうが、そのかわりに、こんどは、どんな気味きみのわるい生物せいぶつがやってくるかと、それがしんぱいになってきます。もし、あいてが、地球ちきゅうを征服せいふくしようなどとかんがえているとすれば、たいへんなことです。

各国かっこくの天文てんもん台だいから、強力きょうりょくな電波でんぱで、Rすい星せいにむかって通信つうしんが発はっせられました。もし生物せいぶつがのっていれば、こたえの通信つうしんがあるだろうとかんがえたからです。

しかし、なんのこたえもありません。先方せんぽうのことばがわからないのですから、いみをつたえることはむずかしいけれど、いろいろなやりかたで、通信つうしんしてみましたが、なんのてごたえもないのです。

ソ連れんやアメリカでは、Rすい星せいと通信つうしんをかわすために、人工じんこう衛星えいせいをうちあげる計画けいかくがたてられました。

そんなさわぎのあいだに、Rすい星せいのぶきみな姿すがたは、グングン地球ちきゅうに近ちかづいていました。

夜よるになると、それがおそろしい大おおきさで、空そらにかかっているのです。昼間ひるまでも、目めをこらせば、うっすら見みえるほどになってきました。

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