← Library‹ 妖星人R 妖星人の林

「ワーッ、小林こばやし団長だんちょうっ。」

「ワーッ、井上いのうえ君くん。」

気きがつくと、原はらっぱのむこうから、おおぜいの少年しょうねんが、こちらへかけてくるのが見みえました。みんな少年しょうねん探偵たんてい団だん員いんです。ポケット小僧こぞうもいます。ノロちゃんの野呂一平のろいっぺい君くんもいます。かぞえてみると、十じゅう三さん人にんです。それに小林こばやし、井上いのうえの二に少年しょうねんをくわえると十じゅう五ご人にんになります。十じゅう五ご少年しょうねんが、せいぞろいをしたのです。

「きみたち、どうして、こんなところにいるんだい。」

小林こばやし君くんがたずねますと、中学ちゅうがく一いち年ねんの木村きむらという少年しょうねんがこたえました。

「小林こばやしさんが、電話でんわで、みんなをよびあつめたんじゃないか。それで、ぼくたち、あのおばけやしきの洋館ようかんへ、やってきたんだよ。すると、へんなおじさんがいて、キラキラひかる鏡きょうの玉たまが、てんじょうからさがってきて、ぼくたち、ねむくなってしまった。

そして、ハッと気きがつくと、いつのまにか、この原はらっぱへきていたんだよ。なんだか、夢ゆめを見みてるような気持きもちだよ。」

小林こばやし少年しょうねんは、電話でんわなんかかけたおぼえはありません。これも二十にじゅう面相めんそうのしわざにちがいないのです。二十にじゅう面相めんそうはなんでもしっています。小林こばやし君くんの声こえをまねて、電話でんわで、おもな団員だんいんをよびあつめたのかもしれません。

小林こばやし君くんは、それよりも、おばけガニのことが気きになるので、うしろをふりかえってみました。

すると、ふしぎ、ふしぎ、うしろは、いちめんの原はらっぱで、あの洋館ようかんは、影かげも形かたちもなくなっていたではありませんか。

ほんとうに、夢ゆめを見みているような気持きもちです。そういえば、空そらも、原はらっぱも、いちめんに、うすぐらく、なまり色いろで、夢ゆめの中なかのけしきのようです。

少年しょうねんたちは、小林こばやし団長だんちょうをかこんで、ひとかたまりになって立たっていましたが、ポケット小僧こぞうが、空そらをゆびさして、とんきょうな声こえで、さけびました。

「あれ、あれ、なんだか、たくさん、ふってくるよ。」

みんなが、空そらを見みあげました。

小ちいさな、灰色はいいろのまるいものが、かずかぎりもなく、ふってくるのです。

小林こばやし君くんたちが、さっきのぞいた天体てんたい望遠ぼうえん鏡きょうの中なかのけしきと、そっくりでした。空そら飛とぶ円盤えんばんが地球ちきゅうにちかづいてくるのです。さっきは望遠ぼうえん鏡きょうでしか見みえなかったのが、もう肉眼にくがんで見みえるようになったのです。

円盤えんばんはひじょうな速はやさで、ちかづいてきます。みるみる、形かたちが大おおきくなってくるのです。一ひとつ、二ふたつ、三みつ、四よんつ……十じゅう一いち、十じゅう二に、十じゅう三さん、十じゅう四よん……二十にじゅう一いち、二十にじゅう二に……、かぞえきれないほどです。はっきり見みえるだけでも百ひゃく以上いじょうあります。そのあとから、ほこりのように小ちいさく見みえるのが、かぎりもなくふってくるのです。

やっぱりRすい星せいには、生いき物ものがすんでいたのでしょうか。いくら二十にじゅう面相めんそうが魔法まほうつかいだからといって、こんなに空そらから円盤えんばんをふらせることはできないでしょう。すると、妖星ようせい人にんRは、二十にじゅう面相めんそうのでっちあげたものではないのかもしれません。

いちばん近ちかい円盤えんばんは、おさらほどの大おおきさに見みえています。はじめは、灰色はいいろだったのが、いまは青黒あおぐろい色いろです。

「あらっ、あの円盤えんばんには足あしがあるよ。」

ノロちゃんの声こえでした。

なるほど、足あしがあります。八はち本ほんの足あしがあります。それから、大おおきな二に本ほんのはさみが。

カニです。でっかいカニが、空そらからふってくるのです。かぞえきれない、足あしのある円盤えんばんが、ふってくるのです。だんだん大おおきくなってきました。もうマンホールのふたぐらいの大おおきさです。あの気味きみのわるい、白しろっぽいカニの腹はらが、ハッキリ見みえます。

カニ円盤えんばんはグングン大おおきくなってきました。大おおきなはさみと、八はち本ほんの足あしをモガモガやりながら、おりてきます。

さしわたし三さんメートルほどに見みえます。たちまち、四よんメートル、五ごメートル……七ななメートル、八はちメートル、おそろしくでっかい、おばけガニです。そして、十じゅうメートルほどにふくれあがったとき、さいしょのカニ円盤えんばんは、原はらっぱに着陸ちゃくりくしていました。少年しょうねんたちから百ひゃくメートルはなれたところです。

つぎつぎと着陸ちゃくりくします。十じゅう、二十にじゅう、三十さんじゅう、もうかぞえきれません。広ひろい原はらっぱが、巨大きょだいなカニ円盤えんばんでいっぱいになってしまいました。

それらのおばけガニが大おおきなはさみを、おったて、八はち本ほんの足あしをモガモガと動うごかしているありさまは、じつに、なんともいえないおそろしさです。

いちばん近ちかくのカニ円盤えんばんの背中せなかの上うえで、なにか動うごいているものがあります。あっ、怪人かいじん二十にじゅう面相めんそうです。さっき、小こガニの群むれにうずめられて、消きえてしまったとおもった二十にじゅう面相めんそうが、いつのまにか、カニ円盤えんばんの背中せなかにのぼっていたのです。あのいやらしいメフィストの姿すがたです。

「ワハハハハ……、少年しょうねん探偵たんてい団だんの諸君しょくん、どうだ、おどろいたか。Rすい星せいから、地球ちきゅうせいばつにやってきたのだ。おれはRすい星せいの大統領だいとうりょうだ。いま、きみたちに、おれのなかまを見みせてやろう。ピン、パン、ポン、ピン、パン、ポン……。」

原はらっぱにひびきわたるような、おそろしい声こえでした。

すると、たいへんなことがおこりました。ひとつのカニ円盤えんばんに三さん人にんずつのカニ怪人かいじんがあらわれて、円盤えんばんの背中せなかに立たったのです。たぶん、カニ円盤えんばんのおなかがわれて、そこから、はいだしてきたのでしょう。円盤えんばんはまだ、降ふりつづいています。原はらっぱに着陸ちゃくりくしたのだけでも、二百にひゃく以上いじょうです。その背中せなかに、三さん人にんずつのカニ怪人かいじんが立たったのですから、カニ怪人かいじんの林はやしのようです。カニ怪人かいじんの大軍たいぐん団だんです。

みにくい姿すがたのカニ怪人かいじんです。みなさんよく知しっているカニ怪人かいじんです。カニのこうらのような頭あたま、二に本ほんの触手しょくしゅ、自動じどう車しゃのヘッドライトのような二ふたつの目め、鉄てつのよろいを着きたからだ、鉄てつのはさみのついた腕うで、あの妖星ようせい人にんRです。

「ワハハハ……、どうだ、おどろいたか。きみたちが、びっくりして、ポカンと口くちをあいている顔かおを見みると、おれはゆかいでたまらないぞ。ワハハハハ……。だが、これでおしまいじゃない。まだまだおもしろいものを見みせてやるのだ。いいか、そらっ。」

メフィストの二十にじゅう面相めんそうが、両手りょうてをたかくあげて、頭あたまの上うえで、グルグルとまわしました。

すると、おもいもよらぬ、おそろしいことがおこったのです。

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