← Library‹ 妖星人R 大闘争

「あっ、先生せんせいが、ぼくたちを、たすけにきてくださったのだっ。」

小林こばやし君くんは、すぐにそこに気きがつきました。さっき、赤あか電話でんわで、先生せんせいに、このおばけやしきをしらべると、報告ほうこくしておいたからです。

明智あけち探偵たんていと二十にじゅう面相めんそうは、ひとことも、ものをいわないで、いつまでも、にらみあっていました。

ふたりとも、なんというおそろしい目めをしているのでしょう。まるで、あいてを、にらみ殺ころそうとしているようです。

ことに明智あけち探偵たんていの目めは、またたきもせず、ランランとかがやいて、そこから、いなびかりのようなものが、あいての顔かおをめがけて、とびだしていくように見みえました。

二十にじゅう面相めんそうの顔かおは、まっかになり、汗あせびっしょりです。いまにも明智あけちに、にらみたおされそうになるのを、ひっしになって、がんばっているのです。

すると、おそろしいことが、おこりました。二十にじゅう面相めんそうの魔法まほうの力ちからで、あのでっかいおばけガニが、もうろうと、姿すがたをあらわしてきたのです。一いちぴき、二にひき、三さんびき、四よんひき、五ごひき、おお、ごらんなさい。あの人間にんげんの何なん倍ばいもある大おおガニが、五ごひきもあらわれて、巨大きょだいなはさみを、ひらいたり、とじたりしながら、明智あけち探偵たんていのほうへ、ジリジリと、ちかづいていくではありませんか。

「ウハハハハハ、どうだ、明智あけち先生せんせい、おれの魔法まほうがわかったか。いまにきみは、カニにくわれてしまうのだぞ。」

メフィストの二十にじゅう面相めんそうが、おばけガニのうしろから、ぶきみな声こえで、あざわらいました。

すると、どうでしょう。こんどは、明智あけち探偵たんていが、魔法まほうを使つかったのです。

立たっている明智あけちのからだから、スーッと、もうひとりの明智あけちがわかれて、そのとなりに立たちました。

それから、また、もうひとり、また、もうひとり、とつぎつぎにほんとうの明智あけち探偵たんていのほかに、五ご人にんの明智あけちが、そこにならんだのです。

「ワハハハハハ、魔法まほうを使つかうのは、きみばかりじゃないよ。ほら、これを見みたまえ。」

明智あけちの声こえがひびきわたると、五ご人にんの明智あけちが、サッと、五ごひきの大おおガニに、とびかかっていきました。

カニと人間にんげんとの大だい格闘かくとうです。すさまじい争あらそいです。大おおガニは、二に本ほんのはさみを、ふりたてて、メチャメチャに、もがきまわりました。

五ご人にんの明智あけちは、そのはさみを、両腕りょううでで、グッとだきしめて、おそろしい力ちからで、カニどもを、その場ばに、ねじりたおすのでした。

うしろに、つっ立たって、それを見みている明智あけち探偵たんていの顔かおにも、汗あせが流ながれてきました。しかし、あのするどい目めは、やっぱり、またたきもせず、メフィストの二十にじゅう面相めんそうを、にらみつけています。明智あけちの両眼りょうめから、電気でんきの火花ひばなが、とびだしているようです。

二十にじゅう面相めんそうの、汗あせにぬれた顔かおは、もう、紫色むらさきいろです。目めも口くちも、くるしさにひんまがっています。二十にじゅう面相めんそうはまけたのです。明智あけち探偵たんていの目めの光ひかりにまけたのです。

五ごひきの大おおガニは、五ご人にんの明智あけちのために、みんな、くみふせられてしまいました。カニどもは八はち本ほんの足あしをモガモガやって、くるしんでいましたが、やがて、ふしぎなことに、そのでっかいカニたちの姿すがたが、だんだん、ボーッとうすくなっていって、いつのまにか、消きえてしまいました。

カニをせいばつしてしまった五ご人にんの明智あけちは、こんどは、メフィストの二十にじゅう面相めんそうのまわりを、グルッととりまいてたちはだかりました。

「ワアアアアア……。」

二十にじゅう面相めんそうがおそろしいさけび声ごえをたてました。そして、クルッとむこうをむくと、いきなり、死しにものぐるいで、にげだしたのです。

五ご人にんの明智あけちは、かげのように、そのあとをおって、むこうへ、消きえていきました。

「先生せんせいっ。」

小林こばやし少年しょうねんが、さけびながら、明智あけち探偵たんていのそばに、かけよりました。

「おお、小林こばやし君くん。きみたちは、みんな、二十にじゅう面相めんそうの催眠さいみん術じゅつにかかっていたのだ。ぼくは、きみたちをたすけにきた。そして、二十にじゅう面相めんそうと催眠さいみん術じゅつくらべをやって、勝かったのだ。さあ、あいつをおっかけよう。きみたちも、いっしょにきたまえ。」

そういって、明智あけち探偵たんていは、二十にじゅう面相めんそうのにげたほうへ、はしりだしました。

十じゅう五ご人にんの少年しょうねんは、いままで、催眠さいみん術じゅつをかけられていたのですが、明智あけちが二十にじゅう面相めんそうの術じゅつをやぶってしまったので、夢ゆめからさめたように正気しょうきにかえりました。

天体てんたい望遠ぼうえん鏡きょうにうつった空そら飛とぶ円盤えんばんも、小ちいさいカニが液体えきたいのように、おしよせてきたのも、窓まどから大おおガニがはいってきたのも、空そらからカニの大群たいぐんがふってきたのも、みんな催眠さいみん術じゅつで見みせられたまぼろしにすぎなかったのです。

二十にじゅう面相めんそうの味方みかたをした五ごひきの大おおガニも、明智あけち探偵たんていのからだから、わかれて出でた五ご人にんの明智あけちも、ふたりのおそろしい心こころのあらそいをしめす、まぼろしでした。少年しょうねんたちが、まだ催眠さいみん術じゅつから、さめきっていなかったので、そんなまぼろしが見みえたのです。それにしても十じゅう五ご人にんの少年しょうねんに、一いち度どに催眠さいみん術じゅつをかけるとは、二十にじゅう面相めんそうはよほどの名人めいじんですが、わが明智あけち探偵たんていはさらに、それ以上いじょうの名人めいじんだったのです。さすがの小林こばやし少年しょうねんも、明智あけち先生せんせいがこれほどの催眠さいみん術師じゅつしとは、すこしも知しりませんでした。

Next chapter →
Click a word · hold for the whole sentence 0%