← Library‹ 赤いカブトムシ 7

こんどは、少年しょうねんたんていだんが、ルビーのカブトムシをさがす番ばんでした。

五ご月がつ二十にじゅう五ご日にち午後ごご三さん時じ二十にじゅう分ふん、一いち本ほんスギのてっぺんからはいれ。おそろしい番人ばんにんに注意ちゅういせよ。

という手紙てがみのとおりに、小林こばやしだんちょうとユウ子こちゃんと、木村きむらくんと井上いのうえくんと、ノロちゃんの五ご人にんが、世田谷せたがや区くの一いち本ほんスギの原はらっぱへやって来きました。

木きのぼりのめいじんのノロちゃんが、高たかいスギの木きのてっぺんへのぼりましたが、はいるあななんて、どこにもありません。ノロちゃんは、しばらく、あたりを見みまわしていましたが、なにを思おもったのか、原はらっぱに長ながくよこたわっているスギの木きのかげをゆびさしながら、さけびました。

「あそこだよ。あそこに、入口いりぐちがあるんだよ。」

それを聞きくと、小林こばやしだんちょうも、はっとそこへ気きがつきました。

「ああ、そうだ。てっぺんというのは、スギの木きのてっぺんのかげのところなんだ。」

ノロちゃんが木きからおりるのをまって、みんなで、スギの木きのかげのさきっぽまで行いってみました。

そのへんには、たけの高たかい草くさがしげっています。小林こばやしくんは、この草くさの中なかへふみこんでいってさがしていましたが、やがて、

「あっ、ここにほらあながある。ここが、入口いりぐちにちがいないよ。」

と、みんなをよびあつめました。それは、さしわたし六十ろくじゅうセンチぐらいのせまいあなでした。

中なかはまっくらですから、井上いのうえくんと木村きむらくんが、よういのかいちゅうでんとうをつけ、井上いのうえくんがさきになって、あなの中なかへはいこんでいきました。

せまいところは三さんメートルほどで終おわり、にわかにあながひろくなって、下したの方ほうへ、石いしだんがついています。もうたって歩あるけるのです。

石いしだんをおりると、しょうめんに、大おおきな鉄てつのとびらがしまっています。まほうはかせの手紙てがみには、「おそろしい番人ばんにんに注意ちゅういせよ。」と書かいてありました。きっと、そのおそろしいやつが、とびらのむこうにまちかまえているのだろうと思おもうと、みんな、むねがどきどきしてきました。

でも、ここまで来きて、ひきかえすわけにはいきません。

井上いのうえくんは、とびらのとってをつかんでおしてみました。

すると、かぎもかけてないらしく、鉄てつのとびらは、キイッとぶきみな音おとをたてて、むこうへひらきました。

かいちゅうでんとうで、その中なかをてらしてみましたが、なんにもありません。ただ、まっくらなほらあなが、ずっとおくの方ほうへつづいているばかりです。

五ご人にんは、井上いのうえくんをさきにたてて、おずおずとそのくらやみの中なかへはいっていきました。

おくびょうもののノロちゃんは、ぶるぶるふるえながら、小林こばやしだんちょうについていきました。それに、ユウ子こちゃんは、女おんなの子こですから、まもってやらなければなりません。小林こばやしくんは、両手りょうてで、ノロちゃんとユウ子こちゃんの手てをひいて、すすんでいきます。すこし行いくと、ほらあなのまがりかどへ来きました。

そこをひょいとまがると、みんなは「あっ。」といったまま、たちすくんでしまいました。すぐ目めの前まえに、とほうもなく大おおきなばけものがうずくまっていたからです。そのかおはきいろで、まっ黒くろなふといしまがついていました。せんめんきほどの大おおきな目めが、やみの中なかで光ひかっていました。

ステッキをたばにしたような、ふといひげのはえた大おおきな口くち、その口くちから二に本ほんの白しろいきばが、にゅっとつき出でています。トラを百ひゃくばいも大おおきくしたようなばけものです。そのおそろしいかおが、ほらあないっぱいになって、あごが、じめんについているのです。

どこからか、なまぐさい、強つよい風かぜがふきつけてきました。

「うへへへへ……。かわいい子こどもたちが来きたな。おいしそうなごちそうだ。いま、たべてやるからな。うへへへへ……。」

おばけのトラが、そんなことをいって、ぶきみにわらいました。その声こえが、ほらあなにこだまして、なんともいえないおそろしさです。

そして、おばけは、二にメートルもあるような大おおきな口くちをがっとひらきました。

五ご人にんは、にげようとしても、じしゃくでひきつけられたように、どうしてもにげることができません。そして、いつのまにか、おばけのトラの口くちの前まえまですいよせられ、つぎつぎと、口くちの中なかへのまれてしまいました。

口くちの中なかには、まっかな大おおきなしたがうごめいていました。

五ご人にんは、そのしたの上うえにころがったまま、気きをうしなったようになっていました。

それにしても、地ちのそこに、どうしてこんな大おおきなばけものがすんでいるのでしょう。ばけものにたべられた子こどもたちは、これから、いったいどうなるのでしょうか。

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