← Library‹ 赤いカブトムシ 8

小林こばやしくんと木村きむらくんと、ユウ子こちゃんと井上いのうえくんと、ノロちゃんの五ご人にんは、ルビーのカブトムシをとりかえすために、世田谷せたがや区くのさびしい原はらっぱの、ふしぎなほらあなへはいっていきました。

そのほらあなの中なかには、ふつうのトラの百ひゃくばいもある、おばけのトラがねそべっていて、大おおきな口くちへ、五ご人にんをのみこんでしまいました。

しばらくして気きがついてみると、まだ、トラのしたの上うえにころがったままで、いぶくろの方ほうへのみこまれていくようすもありません。井上いのうえくんは、しっかりにぎりしめていたかいちゅうでんとうで、おばけののどのおくをてらしてみました。

すると、このトラののどのおくには、しょくどうも、いぶくろも、なにもないことがわかりました。

くびだけのトラだったのです。もちろん、いきたトラではなくて、きかいじかけの作つくり物ものです。すいよせられたと思おもったのは、どこかうしろの方ほうから、大おおきなせんぷうきのようなもので、ふきつけられたのでしょう。

井上いのうえくんは、トラの口くちから外そとへ出でようとしましたが、もう口くちはとじられていて、どうしてもあけることができません。

しかたがないので、小林こばやしくんとそうだんして、おくの方ほうへ行いってみることにしました。トラののどのおくは、いままでとおなじコンクリートのほらあなです。かいちゅうでんとうでてらしながら、そこをすすんでいきますと、ばったり行いきどまりになってしまいました。

「あっ、ここにドアがあるよ。」

ひとりが、やっととおれるほどの小ちいさいドアです。井上いのうえくんが、そのドアのとっ手てをつかんでひっぱると、なんなくあきました。まるで、きんこのとびらのように、ひどくぶあつい、がんじょうな鉄てつのドアです。

五ご人にんは、その中なかへはいりました。すると、ふしぎなことに、そのおもいドアが、すうっと、ひとりでにしまってしまったではありませんか。

井上いのうえくんはおどろいて、もう一いちどあけようとしましたが、こんどは、いくらおしてもびくともしません。それにドアのうちがわには、とっ手てもなにもなく、すべすべした鉄てつのいたです。

「おやっ。ここは、どこにも出口でぐちのないまるいへやだよ。」

それは、たたみ二にじょうくらいの、いどのそこのようなまるいへやでした。

五ご人にんは、コンクリートのつつの中なかにとじこめられてしまったのです。かいちゅうでんとうでてんじょうをてらしてみると、まるいつつは、ずっと上うえの方ほうへつづいています。まったくいどのそことおなじです。

「おや、あの音おとはなんだろう。」ノロちゃんが、おびえた声こえを出だしました。

ほんとうに、へんな音おとがしています。とおくで、モーターがまわっているような音おとです。

そのとき、かいちゅうでんとうでてんじょうをてらしていた井上いのうえくんが、

「あっ、たいへんだっ。」

とさけんだので、みんなびっくりして、その方ほうを見上みあげました。

じつにおそろしいことが、おこっていたのです。ごらんなさい。てんじょうから、鉄てつのふたのようなものが、じりじりとおりてくるではありませんか。

まるいつつのうちがわへ、ぴったりはまったあつい鉄てつのふたです。それが、しずかにおりてくるのです。

鉄てつのふたは、モーターの力ちからで、すこしのくるいもなくおりてきます。ああ、もう手てをのばせばとどくところまでおりてきました。

「みんな、手てをのばして、力ちからをあわせて、あれをささえるんだ。でないと、ぼくたち、おしつぶされてしまうよ。」

小林こばやしくんはそういって、まず、自分じぶんが両手りょうてを上あげました。

みんなも、そのまねをして、両手りょうてを上あげて、鉄てつのふたをおしもどそうとしました。しかし、それは、ひじょうにおもい鉄てつのかたまりらしく、五ご人にんの力ちからでは、とてもささえきれません。じりじり、じりじりと、おりてくるのです。それにつれて、ささえている手てが、だんだんさがり、とうとう鉄てつのふたは、みんなのあたまにくっつくほどになりました。

もう、しゃがむほかはありません。そのつぎには、すわってしまいました。それでもまだ、鉄てつのふたはおりてくるのです。もう、すわっていることもできないようになり、みんなはあおむけにねころんで、両手りょうてと両足りょうあしでささえようとしましたが、やっぱりだめです。なん百ひゃくキロというおもさの鉄てつが、ねているかおのすぐそばまでおりてきました。

ユウ子こちゃんは、なきだしました。ノロちゃんもなきだしました。

「たすけてくれえ……。」

井上いのうえくんと木村きむらくんが、かなしい声こえでさけびました。小林こばやしくんさえ、なきだしたくなるほどでした。

ああ、五ご人にんは、いったいどうなるのでしょう。

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