ポケット小ぞうの考えたとおり、そのマンホールは、二十めんそうの住みかの、ひみつのマンホールでした。
マンホールの中は、コンクリートのかべにかこまれていましたが、そのかべに、ちょっと見たのではわからない、ひみつのドアがあって、それを開くと、ずっと、よこあながつづいていて、あるせいようかんのえんの下へ出られるようになっていました。そこのゆか板が、上げぶたになっていて、それをあけて上に出ると、りっぱなへやがあるのです。
ろうじんにへんそうした二十めんそうは、そのへやへ上がっていきました。
「うふふふふ。あぶないところだった。だが、おれは、まほう使いだからな。とらに化け、ろうじんに化け、それから、だれも知らないマンホールの入口だ。あいつら、おれがどこかへきえてしまったかと、おどろいているだろうて。うふふふふ……」
二十めんそうは、そんなひとり言をいいながら、広いへやの中を、ぐるっと見回しました。
それは、へんなへやでした。広いせいよう風のへやのかべには、いろいろな形の刀やてっぽうなどがならべてあり、その下には、むかしのせいようのよろいや、日本のよろい、中国のよろいなどが、まるで、人が立っているように、ずらっとかざってありました。びじゅつ品の好きな二十めんそうは、古い刀やよろいなどを、このへやにかざって、よろこんでいるのでしょう。
かれは、ドアをあけて、つぎのへやにはいりました。そこは、しんしつらしく、大きなベッドがおいてありました。
そこで、ろうじんのふくをぬぎ、顔のつけひげやかつらを取り、せんめん台で顔をあらい、ようふくだんすからパジャマを出して着かえてから、よびりんをおすのでした。
すると、ドアにノックの音がして、ひとりのぶかがはいってきました。
「かしら、うまくいきましたか」
「いや、しっぱいした。ちんぴらにじゃまをされた。そして、みんなに追っかけられたので、いろんなへんそうをして、うまくにげてきたのだ。だが、あのほうせきは、きっと手に入れてみせるよ。……ああ、くたびれた。今夜は、もう、ねることにしよう」
二十めんそうは、そういって、ぶかを下がらせてから、そこのつくえの上においてあったウイスキーをグラスについで、ぐっとのみほすと、そのままベッドにもぐりこんでしまいました。
さて、そのよく朝のことです。八時ごろ、二十めんそうは、目をさましてベッドから出ると、ドアを開いて、よろいのかざってあるへやにはいりました。毎朝、そのへやを見るのが楽しみなのです。
「どうだ、りっぱなものじゃないか。これだけ、世界じゅうのよろいや刀を集めているやつは、ほかにあるまい。ここまで集めるのには、おれも、ずいぶんくろうしたもんだからな」
二十めんそうは、さもうれしそうに、ひとつひとつ、よろいをながめながら歩き回るのでした。
「おやっ」
二十めんそうは、びっくりして立ち止まりました。すぐそばに立っている銀色のせいようのよろいが、かすかに動いたように思われたからです。
ふしんに思った二十めんそうが、その銀色のよろいを見ていると、ああ、これは、どうしたことでしょう。そのよろいが、だんだん大きく動き出して、こちらに歩いてくるではありませんか。よろいのお化けです。
二十めんそうは、ぽかんと口をあけ、あっけにとられたように立ちすくんでしまいました。