← Library‹ ふしぎな人 16 われるポスト

さて、そのあくる日ひのことです。たけしくんときみ子こちゃんが、学校がっこうから帰かえってきて、門もんのそばで遊あそんでいると、門もんの外そとから、ひとりの子こどもがはいってきました。

赤あかい頭あたまの毛けを、おとなのようにきれいに分わけて、あらいしまのせびろを着きた、十じゅう二、三にさんさいのせいよう人にんのような、へんな子こどもです。顔かおは、りんごのように赤あかく、目めは、大おおきく、まんまるで、頭あたまでっかちな子こどもです。

その、へんな子こどもが、つかつかとはいってきたので、たけしくんときみ子こちゃんが、びっくりして見みていると、子こどもは、たけしくんの前まえで、ぴたりと止とまりました。

「ぼく、お使つかいだよ。さあ、これ手紙てがみ」

といって、白しろいふうとうを、たけしくんにさし出だしました。

たけしくんが、それを受うけ取とると、へんな子こどもは、くるっと後うしろを向むいて、つかつかと、門もんの外そとへ出でていきました。

それから、じつにみょうなことが起おこったのです。

へんな子こどもは、門もんを出でると、向むこうがわに立たっている、まるいゆうびんポストのそばへ歩あるいていきました。

すると、ふしぎなことに、そのポストがぱっと二ふたつにわれて、大おおきな口くちを開ひらいたではありませんか。

あたりは、まったく人通ひとどおりがないので、だれも見みているものはありません。

へんな子こどもは、その二ふたつにわれたポストの中なかへはいっていきました。すると、ポストは、もとのとおりに合あわさって、ふつうのポストになってしまいました。

こうして、へんな子こどもは、ポストの中なかへかくれてしまったのです。

そのとき、門もんの中なかのたけしくんは、わたされた手紙てがみのふうを開ひらいて、中なかの手紙てがみを読よんでいました。それには、こんなきみの悪わるいことが書かいてあったのです。

今夜こんや、ほうせきをもらいに行いく。いくら用心ようじんしても、だめだよ。二十にじゅうめんそう

さては、今いまの子こどもは、二十にじゅうめんそうの手下てしただったのかと、たけしくんは、門もんの外そとをにらみつけました。

「おにいちゃま。あの子こ、人間にんげんじゃないわ。きっと、お人形にんぎょうよ」

きみ子こちゃんが、へんなことをいいました。

それを聞きくと、たけしくんも、はっと気きがつきました。

「そうだっ。あいつ、きかいみたいな、へんな歩あるき方かたをしてたね。声こえも、キーキー声こえで、レコードみたいだった。それに、顔かおがちっとも動うごかなかった。あいつ、子こどものロボットかもしれない」

たけしくんは、そういって、いきなり門もんの外そとへかけ出だし、通とおりの右左みぎひだりを見みましたが、子こどものすがたは、どこにも見みえませんでした。

「おやっ、あんなところにポストが立たっている。いつできたのかなあ」

たけしくんは、通とおりの向むこうがわに、見みなれないポストを見みつけましたが、まさか、あんなしかけのあるポストとは知しりませんから、ここへ、新あたらしくできたのだろうと考かんがえました。

たけしくんときみ子こちゃんが、今いまの手紙てがみをおとうさんに見みせるために、家いえの中なかへはいってから、しばらくすると、一いち台だいの小こがたトラックが、あのあやしいポストのそばへやって来きました。

ふたりの男おとこが、トラックからおりると、そのポストを持もち上あげてトラックにつみ、上うえから大おおきなおおいをかけて、そのまま、どこかへ走はしり去さってしまいました。

ふつうのポストなら、とてもふたりの力ちからでは持もてませんから、このポストは、本物ほんものより、ずっとかるくできているのにちがいありません。

あのへんな子こどもも、ポストの中なかにはいったまま、運はこばれていったのです。

Next chapter →
Click a word · hold for the whole sentence 0%