さて、そのあくる日のことです。たけしくんときみ子ちゃんが、学校から帰ってきて、門のそばで遊んでいると、門の外から、ひとりの子どもがはいってきました。
赤い頭の毛を、おとなのようにきれいに分けて、あらいしまのせびろを着た、十二、三さいのせいよう人のような、へんな子どもです。顔は、りんごのように赤く、目は、大きく、まんまるで、頭でっかちな子どもです。
その、へんな子どもが、つかつかとはいってきたので、たけしくんときみ子ちゃんが、びっくりして見ていると、子どもは、たけしくんの前で、ぴたりと止まりました。
「ぼく、お使いだよ。さあ、これ手紙」
といって、白いふうとうを、たけしくんにさし出しました。
たけしくんが、それを受け取ると、へんな子どもは、くるっと後ろを向いて、つかつかと、門の外へ出ていきました。
それから、じつにみょうなことが起こったのです。
へんな子どもは、門を出ると、向こうがわに立っている、まるいゆうびんポストのそばへ歩いていきました。
すると、ふしぎなことに、そのポストがぱっと二つにわれて、大きな口を開いたではありませんか。
あたりは、まったく人通りがないので、だれも見ているものはありません。
へんな子どもは、その二つにわれたポストの中へはいっていきました。すると、ポストは、もとのとおりに合わさって、ふつうのポストになってしまいました。
こうして、へんな子どもは、ポストの中へかくれてしまったのです。
そのとき、門の中のたけしくんは、わたされた手紙のふうを開いて、中の手紙を読んでいました。それには、こんなきみの悪いことが書いてあったのです。
今夜、ほうせきをもらいに行く。いくら用心しても、だめだよ。二十めんそう
さては、今の子どもは、二十めんそうの手下だったのかと、たけしくんは、門の外をにらみつけました。
「おにいちゃま。あの子、人間じゃないわ。きっと、お人形よ」
きみ子ちゃんが、へんなことをいいました。
それを聞くと、たけしくんも、はっと気がつきました。
「そうだっ。あいつ、きかいみたいな、へんな歩き方をしてたね。声も、キーキー声で、レコードみたいだった。それに、顔がちっとも動かなかった。あいつ、子どものロボットかもしれない」
たけしくんは、そういって、いきなり門の外へかけ出し、通りの右左を見ましたが、子どものすがたは、どこにも見えませんでした。
「おやっ、あんなところにポストが立っている。いつできたのかなあ」
たけしくんは、通りの向こうがわに、見なれないポストを見つけましたが、まさか、あんなしかけのあるポストとは知りませんから、ここへ、新しくできたのだろうと考えました。
たけしくんときみ子ちゃんが、今の手紙をおとうさんに見せるために、家の中へはいってから、しばらくすると、一台の小がたトラックが、あのあやしいポストのそばへやって来ました。
ふたりの男が、トラックからおりると、そのポストを持ち上げてトラックにつみ、上から大きなおおいをかけて、そのまま、どこかへ走り去ってしまいました。
ふつうのポストなら、とてもふたりの力では持てませんから、このポストは、本物より、ずっとかるくできているのにちがいありません。
あのへんな子どもも、ポストの中にはいったまま、運ばれていったのです。