← Library‹ ふしぎな人 17 あらわれた明智たんてい

二十にじゅうめんそうがおどろいたのも、むりはありません。金庫きんこの中なかのたなが、すっかり取とりのけられて、そこに、少年しょうねんたんていだんのポケット小こぞうが、かくれていたからです。

ポケット小こぞうは、ピストルをかまえて、金庫きんこの中なかから出でてきました。小ちいさな子こどもですが、ピストルにはかないません。二十にじゅうめんそうは、両手りょうてをあげて、あとじさりをしました。にげ出だそうとすれば、うたれるので、にげるわけにはいきません。

「はははは……。ほうせきばこを、べつのところにかくして、おいらがはいっていたのさ。そして、おじさんのあけるのを待まっていたんだ」

ポケット小こぞうは、そういって、金庫きんこのかべにとりつけたベルのボタンをおしました。

「これをおせば、方々ほうぼうでベルの鳴なるしかけだ。いまに、みんながやって来くるからね。おとなしく待まっているんだよ」

それを聞きくと、こんどは、二十にじゅうめんそうのほうが、大声おおごえでわらいだしました。

「わはははは……、だめだよ。そのベルは、おれがさっき、線せんを切きっておいた。いくらおしたって、鳴なりはしないよ」

ポケット小こぞうは、はっとして顔色かおいろをかえました。そのすきを見みて、二十にじゅうめんそうが、いきなりとびかかってきたのです。そして、ポケット小こぞうのピストルを、たたき落おとしてしまいました。

ポケット小こぞうは、「あっ」といって、ピストルをひろおうとしました。二十にじゅうめんそうは、それをつきとばして、自分じぶんがピストルをひろおうとします。ポケット小こぞうは、すぐにとびついていって、二十にじゅうめんそうの手てにかみつきました。

「あっ、いたいっ」

さすがの二十にじゅうめんそうも、かみつかれてはかないません。

それから、おとなと子こどもの大だいかくとうになりました。

ポケット小こぞうはすばしこいので、つかまえようとすると、するりとぬけ出だしてにげ回まわり、あい手てが近ちかづくと、またどこかに食くいつくのです。

二十にじゅうめんそうも、この小ちいさなあい手てにてこずっていましたが、そのうち、とうとうポケット小こぞうをつかまえて、大おおきなハンカチでさるぐつわをはめ、どこからかなわを取とり出だして、手足てあしを、ぐるぐるとしばってしまいました。

「ちんぴらのくせに、ほねをおらせやがった。だが、もう、どうすることもできまい。ははは……。いつまでも、そこにころがっているがいい。それじゃあ、あばよ」

といって、にげ出だそうとしたときです。

「二十にじゅうめんそうくん、しばらくだったなあ」

という声こえが聞きこえ、ドアのところに、明智あけちたんていのにこにこ顔かおがあらわれました。

二十にじゅうめんそうは、「あっ」といって、はんたいがわのドアにかけつけると、そのドアが外そとから開ひらいて、そこに、ピストルをかまえた小林こばやしくんが立たっていました。

「はははは……。二十にじゅうめんそうくん。さすがのきみも、もう、どうすることもできないね」

二十にじゅうめんそうは、ぱっと身みをかがめると、ゆかに落おちていたポケット小こぞうのピストルをひろい取とって、明智あけちたんていの足あしに、ねらいをさだめました。

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