あけちたんていは、へやの中へはいって、すいじょうけいさつへでんわをかけました。
すると、とくべつなモーターボートをかしてくれるというへんじでした。
川ぎしでまっていると、小さいモーターボートが、なみをけたててちかづいてきました。
きしにつくと、中から、すいじょうけいさつのおまわりさんがでてきました。
「これは、ちかごろできたばかりの、とくべつなボートです。ボートのそこから、水の中がのぞけるようになっているのです」
おまわりさんはじまんそうにいうのでした。
あけちたんていと小林しょうねんが、そのモーターボートにのりこみました。そして、すぐにとうきょうこうのほうへしゅっぱつしました。
「いま、でんとうをつけますから、ここをのぞいてごらんなさい」
おまわりさんは、そういって、ボートのそこの四かくいふたをとりました。すると、そこには、四かくいはこのようなものが、下の水の中へつきだしていて、そのさきにガラスいたがはめてあるのです。のぞいていると、そのガラスの下が、ぱっとあかるくなりました。
ボートの下に、サーチライトみたいな、つよいでんとうがついていて、水のそこをてらすようになっているのです。
すいじょうけいさつでは、川におちた人をさがさなければならないことがあるのでこういうモーターボートをつくったのです。
「わあ、きれいだ。さかながたくさんおよいでいる」
小林しょうねんがさけびました。
「四十めんそうのせんこうていは、きっと、ペリスコープを水の上にだして、すすんでいるにちがいない。
そのペリスコープのさきを見つければいいのだ」
あけちたんていがいいますと、すいじょうけいさつのおまわりさんは、すぐにボートのへさきの、サーチライトのスイッチをいれました。
さあっと、つよい光が水の上をてらしました。
そこは、もう、とうきょうこうのひろい海です。
ボートは、サーチライトを右に左にふりてらしながら、ゆっくりすすんでいきます。
「あっ、先生。あそこにペリスコープのさきが……」
小林しょうねんが、むこうをゆびさしてさけびました。
ボートは、ぜんそくりょくで、そのほうへすすみました。
すると、すいめんにでていたペリスコープのさきが、すうっと、水の中へかくれてしまったではありませんか。
「あっ、四十めんそうのやつ、きづいたな。よしっ、それじゃ、こんどはすいちゅうめがねだ」
あけちたんていの声にこたえて、ボートのそこのサーチライトが、ぱっとすいちゅうをてらしました。
ボートは、さっき、ペリスコープのかくれたあたりへちかづいていきます。
やがて、ボートのそこのすいちゅうめがねに、まっくろなせんこうていのすがたがあらわれました。
「よしっ、この下にいる。どこまでも、こいつのあとをおっていくのだ」
あけちたんていが、モーターボートのきかんしゅによびかけました。
こちらは、せんこうていの中です。
ぴったりみについたくろシャツとベレーぼうのかいじん四十めんそうは、ペリスコープのつつに目をあてて、水の上のようすをながめていましたが、ぱっと、サーチライトの光が見え、それがこちらをおっているように思われたので、いそいで、ペリスコープをひきさげてしまいました。
サーチライトの光がつよいので、モーターボートにだれがのっているのか、よく見えませんが、ひょっとしたら、あけちたんていがおっかけてきたのかもしれない、と思いました。
「わははは……。おもしろくなってきたぞ。おい、たけしもきみ子も、いまにびっくりするようなことがおこるから、まっているがいい。わはははは……」
たけしくんもきみ子ちゃんも、とつぜん、四十めんそうがわらいだしたので、きみがわるくなってきました。ふたりは、だきあうようにして、せんこうていのきかいの中にうずくまっていました。
せんこうていは、しばらくのあいだ、ぜんそくりょくで走っていましたが、やがて、だんだんおそくなり、ぴったりとまってしまいました。
「ぼうやたち、さあ、ついたよ。ここは小さなしまの一つだよ。きしの下をつきぬいて、せんこうていがすっぽりはいれるようにしてあるのだ。そこから、わけなくじょうりくできるようにもなっている。だが、そこへはいるまえに、ちょっとうしろをのぞいてみよう。てきがおっかけてきているんだからな」
四十めんそうはそういって……。
ペリスコープのつつをすうっと上にあげて、のぞきあなに目をあてました。
「おや、なんにもいないぞ。あけちのやつ、あきらめてひきあげてしまったのかな。いや、まてまて、ゆだんはできないぞ……」
四十めんそうは、ながいあいだペリスコープをのぞいていましたが、いつまでたってもモーターボートがあらわれないので、やっとあんしんしました。
せんこうていを、きしの下のほらあなにいれ、てつのとびらをひらいて、三人ともじょうりくしました。土のあなからはいだすと、そこは、草ぼうぼうのしまでした。
「ほら、あれをごらん。水のそこから、こんどは空へのぼるんだよ」
四十めんそうのゆびさすほうを見ると、むこうのやみの中に、一だいのヘリコプターがとまっているのが、かすかに見えました。