← Library‹ ふしぎな人 7

あけちたんていは、へやの中なかへはいって、すいじょうけいさつへでんわをかけました。

すると、とくべつなモーターボートをかしてくれるというへんじでした。

川かわぎしでまっていると、小ちいさいモーターボートが、なみをけたててちかづいてきました。

きしにつくと、中なかから、すいじょうけいさつのおまわりさんがでてきました。

「これは、ちかごろできたばかりの、とくべつなボートです。ボートのそこから、水みずの中なかがのぞけるようになっているのです」

おまわりさんはじまんそうにいうのでした。

あけちたんていと小林こばやししょうねんが、そのモーターボートにのりこみました。そして、すぐにとうきょうこうのほうへしゅっぱつしました。

「いま、でんとうをつけますから、ここをのぞいてごらんなさい」

おまわりさんは、そういって、ボートのそこの四よんかくいふたをとりました。すると、そこには、四よんかくいはこのようなものが、下したの水みずの中なかへつきだしていて、そのさきにガラスいたがはめてあるのです。のぞいていると、そのガラスの下したが、ぱっとあかるくなりました。

ボートの下したに、サーチライトみたいな、つよいでんとうがついていて、水みずのそこをてらすようになっているのです。

すいじょうけいさつでは、川かわにおちた人ひとをさがさなければならないことがあるのでこういうモーターボートをつくったのです。

「わあ、きれいだ。さかながたくさんおよいでいる」

小林こばやししょうねんがさけびました。

「四十よんじゅうめんそうのせんこうていは、きっと、ペリスコープを水みずの上うえにだして、すすんでいるにちがいない。

そのペリスコープのさきを見みつければいいのだ」

あけちたんていがいいますと、すいじょうけいさつのおまわりさんは、すぐにボートのへさきの、サーチライトのスイッチをいれました。

さあっと、つよい光ひかりが水みずの上うえをてらしました。

そこは、もう、とうきょうこうのひろい海うみです。

ボートは、サーチライトを右みぎに左ひだりにふりてらしながら、ゆっくりすすんでいきます。

「あっ、先生せんせい。あそこにペリスコープのさきが……」

小林こばやししょうねんが、むこうをゆびさしてさけびました。

ボートは、ぜんそくりょくで、そのほうへすすみました。

すると、すいめんにでていたペリスコープのさきが、すうっと、水みずの中なかへかくれてしまったではありませんか。

「あっ、四十よんじゅうめんそうのやつ、きづいたな。よしっ、それじゃ、こんどはすいちゅうめがねだ」

あけちたんていの声こえにこたえて、ボートのそこのサーチライトが、ぱっとすいちゅうをてらしました。

ボートは、さっき、ペリスコープのかくれたあたりへちかづいていきます。

やがて、ボートのそこのすいちゅうめがねに、まっくろなせんこうていのすがたがあらわれました。

「よしっ、この下したにいる。どこまでも、こいつのあとをおっていくのだ」

あけちたんていが、モーターボートのきかんしゅによびかけました。

こちらは、せんこうていの中なかです。

ぴったりみについたくろシャツとベレーぼうのかいじん四十よんじゅうめんそうは、ペリスコープのつつに目めをあてて、水みずの上うえのようすをながめていましたが、ぱっと、サーチライトの光ひかりが見みえ、それがこちらをおっているように思おもわれたので、いそいで、ペリスコープをひきさげてしまいました。

サーチライトの光ひかりがつよいので、モーターボートにだれがのっているのか、よく見みえませんが、ひょっとしたら、あけちたんていがおっかけてきたのかもしれない、と思おもいました。

「わははは……。おもしろくなってきたぞ。おい、たけしもきみ子こも、いまにびっくりするようなことがおこるから、まっているがいい。わはははは……」

たけしくんもきみ子こちゃんも、とつぜん、四十よんじゅうめんそうがわらいだしたので、きみがわるくなってきました。ふたりは、だきあうようにして、せんこうていのきかいの中なかにうずくまっていました。

せんこうていは、しばらくのあいだ、ぜんそくりょくで走はしっていましたが、やがて、だんだんおそくなり、ぴったりとまってしまいました。

「ぼうやたち、さあ、ついたよ。ここは小ちいさなしまの一ひとつだよ。きしの下したをつきぬいて、せんこうていがすっぽりはいれるようにしてあるのだ。そこから、わけなくじょうりくできるようにもなっている。だが、そこへはいるまえに、ちょっとうしろをのぞいてみよう。てきがおっかけてきているんだからな」

四十よんじゅうめんそうはそういって……。

ペリスコープのつつをすうっと上うえにあげて、のぞきあなに目めをあてました。

「おや、なんにもいないぞ。あけちのやつ、あきらめてひきあげてしまったのかな。いや、まてまて、ゆだんはできないぞ……」

四十よんじゅうめんそうは、ながいあいだペリスコープをのぞいていましたが、いつまでたってもモーターボートがあらわれないので、やっとあんしんしました。

せんこうていを、きしの下したのほらあなにいれ、てつのとびらをひらいて、三さん人にんともじょうりくしました。土つちのあなからはいだすと、そこは、草くさぼうぼうのしまでした。

「ほら、あれをごらん。水みずのそこから、こんどは空そらへのぼるんだよ」

四十よんじゅうめんそうのゆびさすほうを見みると、むこうのやみの中なかに、一いちだいのヘリコプターがとまっているのが、かすかに見みえました。

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