あたりはまっくらです。やみに目がなれると、むこうのほうに、ヘリコプターがとまっているのが見えました。
「あれにのるんだよ。そして、いいところへ行くんだ」
四十めんそうは、そういって、ふたりの手をひいて、ヘリコプターにちかづいていきました。
ヘリコプターのそうじゅうせきには、四十めんそうのぶかの男がのっていて、いつでもとべるようになっていました。
三人は、ヘリコプターにのりこみました。すると、ブルンブルンブルンと、プロペラがまわりだし、ヘリコプターは、しずかにじめんをはなれて、空にうきあがりました。
ヘリコプターは、しまの上をはなれて、やみの中を、どこともしれずとんでいきます。ちかくのはねだひこうじょうのあかるいでんとうが、だんだんうしろへとおざかっていきます。
しばらくすると、四十めんそうが、びっくりしたようにさけびました。
「おやっ、どうしたんだ。なぜ、もとへもどるんだ」
見ると、いちどとおざかったはねだひこうじょうのでんとうが、また、ちかづいてきたのです。ヘリコプターは、もとへもどってきたのです。「よういができたからですよ」
ヘリコプターをそうじゅうしているぶかの男が、みょうなことをいいました。
「えっ、なんだって。なんのよういができたというんだ」
「きみをつかまえるよういができたんだよ。ほら、この下を見たまえ」
いつのまにか、ヘリコプターは、もとのしまにもどっていました。そして、そこには、モーターボートから、もちだしたたんしょうとうが、あかるい光をなげ、その中に、おおぜいのおまわりさんがたっているのが見えました。
四十めんそうは、「あっ」とおどろいて、そうじゅうしている男のせなかを見つめました。
「き、きみは、なにものだ」
「ははははは……。ぼくはあけちだよ。きみよりさきに、このしまにじょうりくして、きみのぶかにばけてまっていたのさ」
ほんとうのぶかは、手足をしばり、さるぐつわをはめて、草むらの中へころがしておいたのです。
そして、その男の上ぎをき、とりうちぼうしをかぶって、四十めんそうのぶかにばけていたのです。
「き、きさま、どうするか見ろっ……」
四十めんそうは、りょう手をひろげて、あけちたんていのうしろからおそいかかろうとしました。
そのときです。ヘリコプターのすみにおいてあった大きなにもつが、むくむくとうごきだしたではありませんか。
そのにもつの中から、ひとりのしょうねんがあらわれました。
「おいっ、四十めんそう、手をあげるんだ。そうでないと……」
しょうねんは、ピストルを四十めんそうのせなかにあてて、ぐいぐいとおしつけるのでした。
四十めんそうは、思わずりょう手を上にあげてふりむきました。
「あっ、きさま、小林だなっ」
それは、あけちたんていのじょしゅの小林しょうねんだったのです。
さすがの四十めんそうも、ピストルをつきつけられてはどうすることもできません。そのまま、ヘリコプターは、しまにちゃくりくしました。
まちかまえていたおまわりさんたちが、四十めんそうをつかまえて、パチンと手じょうをはめてしまいました。
四十めんそうは、おまわりさんたちにとりかこまれて、モーターボートにのせられました。
あけちたんていと小林しょうねんは、ヘリコプターの中でふるえているたけしくんときみ子ちゃんをたすけて、おなじモーターボートにのりこみました。
ふたりの子どもを人じちにして、木村さんのほうせきを手にいれようとした四十めんそうは、とうとうつかまってしまったのです。
モーターボートは、しまをはなれて、とうきょうこうから、すみだ川のほうへすすんでいきました。
四十めんそうは、手じょうをはめられて、ボートのかんぱんにうずくまっていました。そのまわりをおまわりさんがとりかこんでいます。
「おい、きみたち、おれが海の中へとびこんだら、どうするつもりだ」
四十めんそうが、みょうなことをいいました。
「そりゃ、だめだよ。手じょうをはめられていては、およげやしない。海のそこへしずんでしまうばかりだよ」
おまわりさんがそういうと、四十めんそうは、いきなりわらいだしました。
「あはははは……。この手じょうかい。こんなものはずすの、わけないよ。おれが、手じょうやぶりのめいじんだということをしらないのか」
パチンと音がして四十めんそうのりょう手から、手じょうがはずれてしまいました。そして、あっというまに、四十めんそうのすがたは、かんぱんからきえていました。
まっくらな海の中へとびこんでしまったのです。