← Library‹ ふしぎな人 8

あたりはまっくらです。やみに目めがなれると、むこうのほうに、ヘリコプターがとまっているのが見みえました。

「あれにのるんだよ。そして、いいところへ行いくんだ」

四十よんじゅうめんそうは、そういって、ふたりの手てをひいて、ヘリコプターにちかづいていきました。

ヘリコプターのそうじゅうせきには、四十よんじゅうめんそうのぶかの男おとこがのっていて、いつでもとべるようになっていました。

三さん人にんは、ヘリコプターにのりこみました。すると、ブルンブルンブルンと、プロペラがまわりだし、ヘリコプターは、しずかにじめんをはなれて、空そらにうきあがりました。

ヘリコプターは、しまの上うえをはなれて、やみの中なかを、どこともしれずとんでいきます。ちかくのはねだひこうじょうのあかるいでんとうが、だんだんうしろへとおざかっていきます。

しばらくすると、四十よんじゅうめんそうが、びっくりしたようにさけびました。

「おやっ、どうしたんだ。なぜ、もとへもどるんだ」

見みると、いちどとおざかったはねだひこうじょうのでんとうが、また、ちかづいてきたのです。ヘリコプターは、もとへもどってきたのです。「よういができたからですよ」

ヘリコプターをそうじゅうしているぶかの男おとこが、みょうなことをいいました。

「えっ、なんだって。なんのよういができたというんだ」

「きみをつかまえるよういができたんだよ。ほら、この下したを見みたまえ」

いつのまにか、ヘリコプターは、もとのしまにもどっていました。そして、そこには、モーターボートから、もちだしたたんしょうとうが、あかるい光ひかりをなげ、その中なかに、おおぜいのおまわりさんがたっているのが見みえました。

四十よんじゅうめんそうは、「あっ」とおどろいて、そうじゅうしている男おとこのせなかを見みつめました。

「き、きみは、なにものだ」

「ははははは……。ぼくはあけちだよ。きみよりさきに、このしまにじょうりくして、きみのぶかにばけてまっていたのさ」

ほんとうのぶかは、手足てあしをしばり、さるぐつわをはめて、草くさむらの中なかへころがしておいたのです。

そして、その男おとこの上うわぎをき、とりうちぼうしをかぶって、四十よんじゅうめんそうのぶかにばけていたのです。

「き、きさま、どうするか見みろっ……」

四十よんじゅうめんそうは、りょう手てをひろげて、あけちたんていのうしろからおそいかかろうとしました。

そのときです。ヘリコプターのすみにおいてあった大おおきなにもつが、むくむくとうごきだしたではありませんか。

そのにもつの中なかから、ひとりのしょうねんがあらわれました。

「おいっ、四十よんじゅうめんそう、手てをあげるんだ。そうでないと……」

しょうねんは、ピストルを四十よんじゅうめんそうのせなかにあてて、ぐいぐいとおしつけるのでした。

四十よんじゅうめんそうは、思おもわずりょう手てを上うえにあげてふりむきました。

「あっ、きさま、小林こばやしだなっ」

それは、あけちたんていのじょしゅの小林こばやししょうねんだったのです。

さすがの四十よんじゅうめんそうも、ピストルをつきつけられてはどうすることもできません。そのまま、ヘリコプターは、しまにちゃくりくしました。

まちかまえていたおまわりさんたちが、四十よんじゅうめんそうをつかまえて、パチンと手てじょうをはめてしまいました。

四十よんじゅうめんそうは、おまわりさんたちにとりかこまれて、モーターボートにのせられました。

あけちたんていと小林こばやししょうねんは、ヘリコプターの中なかでふるえているたけしくんときみ子こちゃんをたすけて、おなじモーターボートにのりこみました。

ふたりの子こどもを人ひとじちにして、木村きむらさんのほうせきを手てにいれようとした四十よんじゅうめんそうは、とうとうつかまってしまったのです。

モーターボートは、しまをはなれて、とうきょうこうから、すみだ川かわのほうへすすんでいきました。

四十よんじゅうめんそうは、手てじょうをはめられて、ボートのかんぱんにうずくまっていました。そのまわりをおまわりさんがとりかこんでいます。

「おい、きみたち、おれが海うみの中なかへとびこんだら、どうするつもりだ」

四十よんじゅうめんそうが、みょうなことをいいました。

「そりゃ、だめだよ。手てじょうをはめられていては、およげやしない。海うみのそこへしずんでしまうばかりだよ」

おまわりさんがそういうと、四十よんじゅうめんそうは、いきなりわらいだしました。

「あはははは……。この手てじょうかい。こんなものはずすの、わけないよ。おれが、手てじょうやぶりのめいじんだということをしらないのか」

パチンと音おとがして四十よんじゅうめんそうのりょう手てから、手てじょうがはずれてしまいました。そして、あっというまに、四十よんじゅうめんそうのすがたは、かんぱんからきえていました。

まっくらな海うみの中なかへとびこんでしまったのです。

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