← Library‹ 少女地獄 殺人リレー 第三の手紙

智恵子ちえこさん。

女おんななんて弱よわいものね。

妾めかけ、新高にいたかさんにスッカリ征服せいふくされちゃったの。この前まえのお手紙てがみに書かいたような冒険ぼうけん心しんが、いつの間あいだにか弱よわって来きたらしいの。

新高にいたかさんも毎日まいにち毎日まいにち妾めかけを可愛かわいがるのが楽たのしみになって来きたらしいの。世帯せたいの事ことだの、まだ生うまれもしない赤あかん坊ぼうの事ことばかり妾めかけに話はなすの……妾めかけはソンナ時ときに黙だまっているんですけど、これから先さきドレぐらい続つづくかわからない長ながい長ながい新高にいたかさんとの同棲どうせい生活せいかつのコースが、希望きぼうも何なんもない灰色はいいろにズーッと続つづいているのが見みえて来きたの。昔むかしの通とおりの平凡へいぼんなトミ子この心こころに……それがただ人妻ひとづまとなっただけのトミ子この心こころに帰かえりそうになって来きたの。妾めかけが大切たいせつに大切たいせつに隠かくしていたツヤ子こさんの手紙てがみを焼やいてしまおうかと思おもった事ことが何なん度どあるかわからないの。

新高にいたかさんを殺ころす気きなんか爪つめの垢あかほどもなくなっちゃったのよ。智恵子ちえこさんに笑わらわれても仕方しかたがないわ。

いったいこれはどうした事ことなんでしょう。妾めかけの一生いっしょうはこのまんまで平々へいへいボンボンのままおしまいになるのでしょうか。新高にいたかさんと一緒いっしょになった最初さいしょの時ときのアノ張千切はちきれるようなモノスゴイ希望きぼうはいったい何処どこへ行いってしまったのでしょう。

妾めかけはコンナつもりで結婚けっこんしたはずじゃなかったのよ。妾めかけはこのまんまパンクしたタイヤみたいになって、何処どこまでも何処どこまでも転ころがって行いかなければならないのでしょうか。

店みせの先さきにブラ下さがっている派手はでなメリンスのキレが眼めに付ついて眼めに付ついて仕様しようがなくなったのよ。赤あかん坊ぼうの着物きものにはドンナのがいいかと思おもってね。

どうぞどうぞ笑わらって頂戴ちょうだい。人生じんせいなんてコンナものかも知しれないわ。

Next chapter →
Click a word · hold for the whole sentence 0%